不審者扱いは ごめん

 初めての支局勤務となった今年、着任当初は事件、事故取材に苦労の連続だった。最近は少しずつ聞き分けられるようになったが、サイレンの音にはいろいろな意味で冷や冷やさせられた。

 釜石市内で倉庫の一部を焼く火事が発生した際もその一つ。鎮火後に把握し、かなり時間がたっていたが、記者は現場が基本。急行し現場を探した。近くの民家のインターホンを鳴らしてみたが、反応がない。カメラを抱えたまま暗い夜道を歩き回り、あくせくしていると近くで怒号が…。

 「んなあーにしてら!」。この民家から屈強なご主人が飛び出してきてつかみかかられたが、名刺を出し「現場を探している」と説明すると「なんだ、おっきな声出してごめん」と一件落着。と思ったが、まだ様子がおかしい。

 普段仕事で耳を澄ましているパトカーのサイレン音が近づいてくる。警察官が火事現場を確認に来たのかと思いきや、なぜか私の回りを取り囲む。「(記者を)不審者と勘違いして通報しちゃったじゃ」とご主人。いつも書いているニュースファイルに自分が載ってしまう番かと冷や汗をかいた。

 基本の徹底と一歩踏み込む勇気-。心掛けているつもりだが、不審者扱いはごめんだ。記者としての所作にも磨きをかけなければと痛感している。

 (八重畑龍一)