国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致を目指し、本県と宮城県の計8市町長は30日、日本学術会議の山極(やまぎわ)寿一会長に宛てて、連名の意見書を提出した。国内誘致の可否判断に向けた検討作業が大詰めを迎える中、建設候補地とされる北上山地(北上高地)周辺の広域自治体が結集し、「総意」をアピールした。

 意見書は一関市、奥州市、大船渡市、平泉町と宮城県の気仙沼市、栗原市、登米市、大崎市の計8首長の連名。勝部修一関市長が東京都内で同会議事務局に提出した。

 内容はILC実現で「科学技術立国として人材育成に寄与する」「新しい地方創生のきっかけになる」と強調。住民と研究者の気軽な話し合いや講演会を何度となく開催し「住民は理解を深め、実現を待ち望んでいる」などと訴える。

 ILC誘致に向け、本県は市町村レベルでも受け入れ態勢整備や住民周知を活発に繰り広げてきた。宮城県側でも気仙沼、栗原、登米の行政や商工団体などが推進協議会を結成し、この3市と大崎市で国に要望するなど活動の蓄積があり、今回結束を示す方向となった。

 日本学術会議は現在、検討委レベルで国内誘致の可否判断に向けた検討を進めている。11月公表の検討委の回答案は、経費の国際分担や経済波及効果などに疑問を投げかけたほか、地元については「正確な情報を伝え、住民対話を進めることが不可欠」と指摘した。

 学術会議事務局は検討委の次回日程について「未定」としている。回答案に対し研究者のほか本県、宮城県を含む国内の誘致関係者から「事実誤認がある」との声が相次いでおり、意見書も含めてどう受け止められるか注目される。

 気仙沼市の菅原茂市長は30日、取材に対し「自治体の取り組みを理解してもらい、前向きな方向性を示してほしい」と期待。勝部市長は「回答案は建設候補地の地元との関係の部分で誤解もあり、正しく理解してほしいとの思いでまとめた」と語った。