「きつい仕事のわりに給与が低い」。一面的な見方からマイナスイメージが広がり、敬遠されがちな介護職だが、高齢化に突き進む社会でニーズは増す一方だ。団塊世代が全て75歳以上になる2025年には、全国で約34万人の人手不足が見込まれる。多様な参入を促す確保策と定着に向けた環境整備は急務だ。

 県によると、25年度に必要とされる介護人材は2万5060人で、3275人不足、充足率は86・9%と見込まれる。全国推計では最も高い充足率が山梨県の96・6%。100%確保を見込む都道府県はなく、全国平均は86・2%。地域によっては、高齢者らが十分な介護サービスを受けられなくなる懸念も増す。

 本県でも来たるべき時代を見据え、あの手この手で対策を打つ。介護助手の仕事を紹介するテレビ番組制作や施設見学ツアー、介護職の魅力を描いた漫画冊子を県内全ての中学2年生に配布するなどイメージアップ戦略も一つだ。

 高齢者や障害者福祉の現場で長年働く介護福祉士の男性は「家族のような関わりが持てることが、自分のやりがいにもつながっている。実際の仕事が知られておらず、子どもが介護職を希望しても親が反対するとも聞く。若い人たちを育てる種をまいていかないと」と願う。

 この男性が勤める施設の一つでは、赤ちゃんをおんぶしながら働く女性もいる。ときには利用する高齢者があやしたり、昼寝を見守ったり。温かな雰囲気が漂う。

 多様な人材参入を促す中には、定年退職者や子育てを終えた女性ら中高年にも視線が注がれる。清掃や片付け、話し相手など周辺的な仕事をする介護助手として期待がかかる。中核となる介護福祉士やベテラン職員は、排せつや入浴介助など専門性の高い業務に集中。役割分担することで負担軽減を狙う。

 一方、外国人労働者の受け入れ拡大もさらに進みそうだ。政府が新設を目指す在留資格の技能に介護も含まれる見通し。現場からは、仕事や生活全般で受け入れ態勢が整っていないと、別の新たな負担が生じかねないとの懸念も聞こえる。

 国内外の人材確保だけでなく、専門性を高める質の担保、また定着に向けた処遇改善や労働環境整備が一体となって進められる必要がある。人手を補うため、いわゆる介護ロボットの導入も進んでいくだろうが、やはり仕事と職場の魅力をつくる中核となる人材育成は鍵となりそうだ。

 かつて家族の中で営まれていた介護は、国境を越えてグローバルな時代に突入する。11日は介護の日。「いつか行く道」を共に考えるきっかけにしたい。