「誠実亭の賄い丼」。ランチョンマットとして作品の抜粋が印刷された紙が置かれ、待っている間に読むことができる

 本を読んでいて食事の場面が出てきたとき、「これはどんな味だろう」「食べてみたい」と思ったことがある人は多いはず。盛岡市の書店「BOOKNERD(ブックナード)」と食にまつわる商品を販売する「背負子(しょいこ)」は、本に登場する料理を再現して提供するコラボ企画「1冊1皿」を開催。多くの来店客を楽しませている。

 同企画は10月27日から11月9日までの2週間。料理は「背負子」で味わうことができ、1週間ずつ異なるメニューを用意している。「BOOKNERD」では題材となった本が店頭に並ぶほか、食をテーマにしたエッセーなど10冊ほどを集めたコーナーを設けている。

 期間前半(10月27日から11月2日まで)は詩集「食卓一期一会」(長田弘著、晶文社)の中から「絶望のスパゲッティ」(税込み800円)を提供した。トマトベースで、細かく刻んだタマネギやオリーブなどが入っており、「どこにも一コの希望もみつからない平凡な一日をなぐさめてくれる」。後半(11月3日から9日まで)はエッセー集「ことばの食卓」(武田百合子著、ちくま文庫)に書かれている「誠実亭の賄い丼」(税込み800円)で、「白滝とちぎれた焼豆腐とすきやきのおつゆがかかった丼御飯」。満足感が得られるように具材を足したほか、温泉卵などが添えられている。

「ことばの食卓」などの食にまつわる本が並ぶ「BOOKNERD」

 個性的なメニュー名も魅力で、入店してすぐ「『絶望』ありますか?」と注文する人も多く、周囲から笑いが漏れる場面も。奥州市などから訪れた女性3人は「本の世界に入った気になる」と嬉しそうに頬張っていた。

 「BOOKNERD」を営む早坂大輔さん(43)と「背負子」の吉田正希さん(45)はもともと知り合いで、以前から「本に出てくる料理を提供したらどうだろう」と話していた。8月半ばに吉田さんから今回の企画を提案。早坂さんが「想像力を掻き立てられて、多くの人に届けたい作品」2冊を選び、吉田さんと妻で料理家の玲奈さん(41)がそれぞれの本の中から「誰もが想像できて、ポジティブな場面を」とメニューを決めた。玲奈さんが料理を監修し、作り方や材料はできるだけ忠実に再現している。

 吉田さんは「文芸と食は色濃く重なっている。両方の店で企画をやることで、人が行き交う状態を作りたかった」と狙いを語り、早坂さんは「食事をした後に作品を買いに来てくれる人がいたり、食べる前に買ってくれる人もいたり。本を知っていただくきっかけを作れたことに手ごたえを感じている」と笑顔を見せる。

memo 「BOOKNERD」は盛岡市紺屋町6の27。独自の視点で国内外の古書や新刊書を取り揃えている。営業時間は正午から午後7時まで。定休日は火曜と第1水曜。電話は019・677・8081。イベントの詳細や営業時間の変更は「BOOKNERD」のインスタグラムなどで知ることができる。

 「背負子」は盛岡市内丸4の2の2階。食品や食器、調理器具を販売するほか、喫茶スペースも設ける。電話は050・7581・0609。営業時間は、6日から8日は午前11時から午後7時まで、9日は正午から午後9時まで。それ以降の営業時間などは「背負子」を含めた吉田夫妻の仕事について紹介するウェブサイト「PEAK for MEAL」で案内している。