津波で大切な人や古里を奪われ、心の痛みを抱える人にどう関わればいいのか。指針となってくれたのが、兵庫県こころのケアセンターが翻訳した米国の「災害時のこころのケア」だった

▼原著の主要メンバーはカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)の研究者。地震や山火事など自然災害多発地域で練り上げられた研究の成果だ。「共感と気遣いに満ちた支援」の大切さなど、多くを学んだ

▼2011年末、来日した研究者に仙台市でインタビュー。被災者へメッセージを依頼したら、次のように話してくれた。「東日本大震災は、私たちが知っているどんな災害よりも大きい。助け合うことも忍耐も必要。世界が皆さんに心を寄せています」

▼今度は私たちが、カリフォルニアに心を寄せるべき時だ。同州史上最悪の山火事が今週、ようやく鎮火。犠牲者は90人近くに上り、多くの住民が避難生活を送っている

▼懸命の救出活動が続くさなか、トランプ大統領の発言に耳を疑った。山火事の原因をめぐって、同州の森林管理に問題があると批判したのだ。州側は反発。ごたごたが続く中、被災者の心痛は察するに余りある

▼大統領は率先して「共感と気遣い」の姿勢を体現し、支援に全力を挙げるべきだ。災害時の心理的支援で世界をリードしてきた米国が、反面教師になってほしくない。