大槌町の大槌学園、吉里吉里学園などを会場に9、10の両日開かれた第13回小中一貫教育全国サミット(小中一貫教育全国連絡協議会など主催)では、両学園の学校公開のほか五つの分科会が開かれ、小中一貫教育の「導入」「学力保障」「生徒指導」「特別支援教育」「外国語・外国語活動」に関し事例発表や意見交換が活発に行われた。参加者の多かった学力保障ではNIEの積極導入、外国語では9年間を通した連続性ある英語学習の発表に参加者は熱心に耳を傾けた。

学力保障 青森県むつ市教委

新聞配備を予算化 小5~中3の全クラスに

 「小中一貫教育9年間を貫く学力保障」の分科会では三つの実践発表が行われた。

 青森県むつ市教委主任指導主事の石川禎大さんは「各中学校ブロックの実情に即した小中一貫教育の取り組みの推進」と題し、同市が取り組む13小学校を9中学校ブロックに分けた一貫教育について発表した。

 教職員の指導体制や教育課程の充実など各ブロックの活動を紹介し、学力向上や不登校児童生徒減少の効果を解説した。

 市教委の取り組みの一つ「活用型問題集の作成と活用の促進」ではNIEの導入を説明した。市教委は2017年度から年間約350万円の予算を組み、毎日、小学5、6年の全53学級と中学校の全69学級に新聞1部を配備。新聞を使った参考問題を各校に配布している。昨年度末のアンケートでは「語彙(ごい)が増えた」「思考力が向上した」との声が寄せられたという。

 石川さんは「新聞は、地域、社会を学習し地域愛を育む教材として最適だ。デジタルでは必要な情報しか得られないが新聞からは探す以上の情報が得られ、そこから学ぶことは多い」と強調する。

 盛岡市の土淵小・中教諭の遠藤令子さんは「学びの連続性」をテーマに▽主体的な解決につながる課題と振り返る活動▽共に関わり合う中で自分の考えを広げ深める手だて▽9年間を見通す年間指導計画の改善-を紹介。大阪府堺市の大泉小・中教諭の永野いつかさんは「『総合的な学力』の育成に向けた取り組み」として学力向上、生活・総合(キャリア教育)の2研究組織の活動を解説。「キャリア教育は学力向上につながる」と結んだ。 指導助言者の県立総合教育センター所長、藤岡宏章さんは「それぞれビジョンをしっかり持ち、進行形のプランニングをしている」と評価。「9年間の教育を多角的多面的に見直し、プロセスの組み直しに努めてほしい」と求めた。


外国語・外国語活動 滋賀県高島市教委

9年間で積み重ね 音声言語から文字言語へ

 「小中一貫教育を生かした外国語・外国語活動」がテーマの分科会では、滋賀県高島市、京都市、大槌町の教育機関、学校が実践を発表。2020年度以降の小学校での英語教科化も見据え、成果と課題を共有した。

 高島市は児童生徒の言語習得段階を踏まえ、音声言語から文字言語につなぐ9年間の外国語教育を展開する。▽英語の音声やリズムに慣れ親しむ1~4年▽簡単な英語でのやりとりに慣れる5~7年▽英語で自分の思いを伝える8、9年-とし、学びの積み重ねを生かし英語の発信力を育成している。

 英語で人と触れ合う機会として外国語指導助手や留学経験のある学生らと接する機会も創出。教育研究所主監の浦島容子さんは「子どもたちは英語が通じる喜びや人とのつながりを実感する。世界を広げる体験になる」と説明した。

 「文字ありき」の教育を音声指導中心にし、子どもたちが聞いた英語を口にしたり、自然に文字に関心が移るなどの成果も出ており、浦島さんは「指導方法の定着が課題だったが助言を繰り返し行った。豊かな生き方につなぐ展開を考えたい」とまとめた。

 京都大原学院(大原小中)教諭の丸田信宏さんは地域に根差した事例を紹介し、外国人に地元を案内する9年生の活動に向けた各学年の取り組みを示した。吉里吉里学園小学部副校長の佐藤雅美さんはふるさと科と関連した活動を説明した。

 指導助言者の関西大初等部教諭、梅本龍多さんは「スカイプなどで外国の子どもと英語で交流するのが非常に良い。期待値も上がり、達成感も味わえる。姉妹都市など各学校の接点を活用し進められる」と強調した。