本県出身の大学生らに奨学金を貸与している「岩手育英会」が今年で創設120年を迎えた。県内の実業家や医師、教育者の5人によって設立された国内でも歴史ある民間育英団体で、これまで約400人に上る若き才能を支援してきた。創設メンバーの一人で盛岡商高や盛岡市立高の初代校長を務めた冨田小一郎(こいちろう)(1859~1945年)の孫、戸田洋子さん(80)=同市加賀野=は節目の年に記念誌を発刊。多くの人材を輩出してきた育英事業の意義を伝え、「未来につないでほしい」と思いを込める。

 冨田は盛岡中学(現盛岡一高)の教師も務め、教え子に石川啄木や米内光政らがいる。同会は長くその親族によって運営が受け継がれてきたが、自宅にしまい込んでいた貴重な資料を戸田さんが見つけ、「先人の功績を残したい」と記念誌の発刊を計画、その歴史を調べた。

 同会は、三田商店や岩手高を創設した三田義正(1861~1935年)の発案で、弟で岩手医大創設者の俊次郎(1863~1942年)ら医師と冨田の5人が協力し「育英同志会」として1898(明治31)年10月に設立。当初はそれぞれ毎月2円ずつ出資して運営したほか、県内からも多くの出資者を募った。