雫石町鶯宿の廃業したホテルを改修した養殖施設で、高級魚トラフグが育っている。秋田、青森の両県でホテルを経営する秋田共栄観光(秋田県仙北市、安本忠熙(ただひろ)社長)が、鶯宿温泉の温泉水に着目。高アルカリ性でミネラルを豊富に含む温泉水に人工海水を入れ、無毒のフグの成育に最適な環境を整えた。21日は町内で試食会を開催。味わった地元の関係者は、海のない雫石育ちの新名物に期待を膨らませた。

 養殖施設は、廃業から10年以上経過した旧川口ホテルに整備。養殖は同社子会社の一山商事(同町鶯宿、安本実社長)が行う。2月末から10基の水槽で4千匹の稚魚の養殖を始めた。当初10グラムほどだった稚魚は、9カ月で出荷できる800グラムほどに成長した。

鶯宿温泉の源泉で養殖しているトラフグ(秋田共栄観光提供)

 21日に同町鶯宿の御所公民館で開いた試食会には町関係者ら約20人が参加。フグの唐揚げや刺し身、鍋などを味わった。猿子恵久町長は「町や鶯宿温泉の観光振興の起爆剤となってほしい」と願った。

 養殖技術は「温泉トラフグ」の先駆け、栃木県那須烏山市の水産養殖業「夢創造」が指導。フグの毒は、海中のテトロドトキシンを含む貝や海藻などを食べて育つことで生み出されるとされる。