初冬に種もみを直接まく新技術を確立し、コメ農家の春の作業負担を減らそうという研究が20日、本格的に動き始めた。岩手大農学部の下野裕之准教授(作物学)らの研究グループが同日、滝沢市巣子の同大付属滝沢農場で種まきを実施。全国10カ所の大学や研究機関と連携する研究で、寒冷地での初冬の直まき栽培は世界でも珍しい。稲作の現場は、高齢化や担い手不足の悩みを抱えて久しい。春に育苗や田植えをしない分、複合経営や規模拡大の可能性も広げる手法として成果が注目される。

 直まき栽培は、育てた苗を水田に移植する従来の方法に対し、直接種をまく方法。育苗や移植にかかるコスト、作業時間が短縮される。春の直まきは全国、県内で例はあるが、他の作物の栽培も重なる繁忙期でもある。今回の研究は冬の農閑期に種まきを終わらせることを目指す。

 同日は下野准教授や同大農学部の学生ら15人が種まき。100粒程度がネットに入った「ひとめぼれ」や「あきたこまち」など50品種の種もみを丁寧にまいた。来年6月ごろの出芽、秋の収穫を見込む。

 種は雪の下で越冬するが、地中で水分を含むと病気が懸念される。下野准教授は種の表面を鉄粉で覆うことでこの課題に対応。出芽率は5%から25%に向上した。実証実験の3年で出芽率を50%まで上昇できれば、まく種の量を少し増やすだけで穂数が増え、収量も十分に確保できると見込む。