容疑者となった日産自動車のカルロス・ゴーン会長は、ゴルフの誘いに「15分で終わるなら」と答えたとか。食事も手早く、せっかちという人物評に世界を股に駆け巡るイメージが重なる

▼その行動原理を一言で言うなら、さしずめ「時は金なり」といったところか。逮捕容疑が事実なら、カネにならないモノには一切目もくれず、もうけの上にもうけを重ねる-。そんな強欲な印象を抱いてしまう

▼「時は金なり」の元の英語「タイム・イズ・マネー」は、アメリカ建国の父の一人とされるベンジャミン・フランクリンが若い商人に向けて書いた本の中にある。「無為の時間は稼ぐ機会の損失」といった意味

▼日本で言う「時は金なり」は、主に「時間はお金と同様に大切なもの」などと解釈されるが、本来の意味はもっと功利的。言ってみれば「稼いだ時間に見合うだけのお金はキッチリもらう」ということだろうか

▼国内主力工場の閉鎖や長年の取引先との関係を見直すなど、日本の企業文化や慣行にとらわれない冷徹さで業績をV字回復させた「カリスマ経営者」は、実利を求める一方で大事なものを見失っていなかったか

▼「マネー」の語源は、紀元前ローマの女神「ユーノー・モネータ」の神殿に、造幣所があったことに由来する。「モネータ」はラテン語で「忠告」を意味するという。