勉強ができない子や運動が苦手な子を、いじめっ子が標的にする-。昭和の終わりから平成の初め頃までは、いじめは見えやすかった。

 だが、どんどん見えづらくなっていく。いじり、からかい、ふざけと境界があいまいになり、標的は次々に移る。自分が標的にならないように無関心を装って傍観する子の存在も、潜在化の要因だ。

 ネットの普及も、見えづらさに拍車を掛けている。会員制交流サイト(SNS)での暴言、無料通信アプリLINE(ライン)の友達グループから排除される「ライン外し」などだ。

 学校は今、子どもの心をどれだけ見ることができているか。

 文部科学省が公表した2017年度の問題行動・不登校調査によると、全国の学校が把握したいじめは41万件を超え、過去最多を更新。「早期対応に向け積極把握が進んだ」(文科省)とはいえ、心身に大きな被害を受ける「重大事態」も前年度より78件増え474件。深刻化に歯止めが掛かっていない。

 特に、ネット上やSNSでの誹謗(ひぼう)中傷が年々増加し、過去最多の1万2千件超に上ったことに危機感を覚える。このままでは、大人の目が及ばないところで事態がさらに深刻化していくのではないか。

 ネットいじめはエスカレートしやすく、リアルな世界でのいじめと相まって、子どもを追い詰める。不登校の大きな要因でもある。文科省は、ネット利用形態の変化、いじめや不登校との関連について詳細に分析し、早期解決に役立てるべきだ。

 子どもからスマホを取り上げれば済む話ではない。つながりが乏しくなった子どもにとって、ネットの世界が逃げ場になっていたり、匿名性が高い故にネットの方が相談しやすい場合もある。SNSの適切な利用方法を教えるだけではなく、SNSから外された先に、どう救いの手を差し伸べるかが問われている。

 近年、電話で自殺予防に取り組んできた団体が、ネットでの相談支援活動に力を入れるようになってきた。伝統仏教の僧侶が悩みに答えるサイト「hasunoha(ハスノハ)」も注目を集める。

 回答僧の一人、盛岡市の真行寺住職で高校教員の亀山純史さんは「自分にとって唯一と思っていた価値観の殻が、外からの多様な価値観の刺激でひびが入り、最後にはこの殻を自ら打ち壊していく。そんなことを期待しつつ、日々回答しています」と語る。

 外されたら人生終わり、ではない。つらい気持ちを分かってくれる人がいる。世の中は広い。生きる道はいろいろある。そう思えるような心の居場所づくりを進めたい。