岩手をはじめとする地方と、東京などの大都市では税収に大きな格差がある。来年度の税制改正で、その是正が焦点になっている。

 大都市に偏る税収を地方に配り直す。新しい制度について総務省の有識者会議が案をまとめ、政府・与党の検討作業が詰めを迎えた。

 東京などに集中する法人事業税の一部を国がいったん集め、地方譲与税として都道府県に配るのが柱だ。格差を広げないため、有識者会議は恒久化を求めている。

 企業が自治体に納める法人事業税は、もともと大企業が多い東京に集中する。ネット販売などの普及で、本社のある東京に企業の所得が集まる傾向は一層強い。

 法人住民税と合わせた人口一人当たり税収は、過去5年平均で東京都が本県の3・8倍に上る。地方税全体でも2倍以上の開きがある。

 税収格差は財政力の格差につながっていく。財政の豊かな東京は独自にさまざまな事業を行えるが、本県は地域事情に合わない国の補助事業選びに苦心している。

 官民のお金で利便性の高い地域づくりを進める東京に人は集まり、地方の人口減と活力の低下は著しい。悪循環を断ち切るためにも、直ちに税収格差を正すべきだ。

 地方に税収を配り直すに当たり、有識者会議は「人口」を基準にすべきと提言した。大都市に有利な「従業員数」を基準から外すのは妥当な方向と言えよう。

 問題は、来年度の税制改正で実現できるかにある。税収が減る東京都は猛反発し、国と対立を深めている。格差是正を求める全国知事会に対しても譲る気配はない。

 小池百合子知事も引かぬ構えを見せる。税収を配り直す新制度を2020年東京五輪後に先送りするよう安倍晋三首相に直接訴えた。

 「東京対地方」「国対東京」の対立構図は誰も望んでいない。どうすれば首都と地方が共栄できるのか、政治の調整力が試される。

 一方で、東京一極集中に全く歯止めがかからない実態がある。それに五輪の関連事業が拍車をかけることを見過ごしてはならない。

 安倍政権が掲げてきた「地方創生」は成果が伴わず、尻すぼみの感は否めない。本気で取り組む姿勢を示すならば、来年度の格差是正を確実に行うことだろう。

 今回は地方法人税改革に絞られるが、本県などが望むのは安定した地方税の姿だ。格差是正と地方税の充実を並行させる必要がある。

 地方創生には、自治体の税収を増やす取り組みも欠かせない。成果が乏しい企業の地方移転にも、本気で国と自治体は取り組んでもらいたい。