水産資源の管理強化と漁業権見直しを柱とし、政府が臨時国会での成立を目指す水産改革関連法案に対し、県内関係者の間で期待と不安が交錯している。主要魚種の不漁が続く中、資源回復の方向性にはおおむね歓迎の声が大きい。一方、地元漁協への漁業権優先割り当て見直しと企業参入促進は、小規模漁業者や漁村共同体への打撃を懸念する見方も根強い。沿岸部の基幹産業の将来を左右する約70年ぶりの改革の行方を注視している。

 資源管理は漁獲上限を定める魚種の拡大と、船ごとに漁獲割当枠を定め、乱獲抑止策を強化する。本県では近年、サンマ、スルメイカ、秋サケなど主要魚種の水揚げが激減。漁業者、加工業者、流通業者など影響は幅広く、資源回復が切実に求められている。

 大型サンマ船を操業する鎌田水産(大船渡市)の鎌田仁社長(45)は「現状の『取ったもの勝ち』から抜け出し、(出漁時期など)戦略的に動ける」と前向きに捉える。

 養殖などの漁業権見直しは、従来の優先順位を廃止。「漁場を適切かつ有効に活用」する場合は既存漁業権者の利用を認め、利用度の低い場合は企業参入を促す方向だが、その基準は国から示されていない。

 ワカメ、昆布を養殖する宮古市田老の畠山正広さん(44)は企業参入で安価な品が出回り、漁価が低下することを懸念。「家族経営は苦しくなるのではないか。後継者が一度外に出て戻るケースもあり、優先権がなくなると帰る場所を失う」と不安を抱く。