県NIE協議会(会長・望月善次岩手大名誉教授)は2日、盛岡市内丸の岩手日報社ホールでNIE公開セミナーを開いた。日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんが「主体的に学力を伸ばす『NIEタイム』~NIEの日常化のススメ」と題し講演。新学習指導要領とNIEの関わりや朝学習などの時間に行うNIEタイムの効果、手法をワークショップを通し解説した。関口さんの講演要旨は次の通り。

日本新聞協会NIEコーディネーター 関口さん、新聞活用を解説

「NIEの継続が読解力向上につながる」と説く関口修司さん

 学習指導要領改定のポイントの一つ「社会に開かれた教育課程」は、学校で学んだことを社会に広げること。現代社会を知る新聞の役割がそこにある。また、改善事項には「語彙(ごい)の習得」が言語能力の育成として挙げられている。「(子どもたちに)言葉のシャワーを」との提案がある。生活の中で多くの言葉に触れることだ。新聞を生活の一部とすることで、たくさんの言葉に接することができる。

 読解力を付けなければ人工知能(AI)に仕事を奪われる可能性が懸念されている。コンピューターは現段階では▼人間のように知覚できない(基礎知覚)▼意思がない(共感、理性的判断)▼常識がない▼問いを生み出せない(課題意識)。この部分を育てる教育が必要で、特に問いを持ちながら学ぶことが大事だ。

 数学者の新井紀子さんは「子どもが習得すべき三つの力」として①読解力(教科書レベルの文章を正しく理解する)②論理力(考えや意思を明確に伝え説得、議論ができる)③数学力(問題を設定し数字を使い分析的に解く)-を挙げる。思考することが重要で授業に求められている。

 読解力については現在、文学的な文章ばかりではなく実用的な文章の「全体像をつかむ力」「写真や表、グラフなどを組み合わせて読む力」が要求される。この点で新聞が教材になる。

 全国学力・学習状況調査の国語問題を分析すると、長文や多様な文章・資料に普段から接し文章全体の構造を把握する力や批判的な読み、書く力が求められる。この資質・能力を培うのがNIEタイム。新聞をざっくり読むことで読むスピードがつく。小学校の実践結果では、国語、算数とも平均正答率が全国平均を5~6ポイント上回った学校がある。

 NIEタイムは、教科・領域の年間指導計画に位置づけず隙間の時間を使う。朝学習や帰りの会など週1回15分程度。コメントは不要で、良いところに丸を付けて返すだけでいい。スピーディーな活動で教師の負担は増えず、子どもも喜ぶ。

 大切なのは無理なくこつこつ子ども主体で続けること。初めは「難しい」「面倒くさい」との声が上がるが続けるうちに「楽しい」「分かるようになった」と変わる。目安は3カ月だ。子ども向け新聞もいいが一般紙で十分。小学校低学年でも漫画や広告など自分なりに切り抜く記事を見つける。

 それでは、皆さんでやってみましょう。

【ワークショップ後の質疑】

 小学校教諭「児童全員に新聞を与える方法は」

 関口さん「児童が独居高齢者宅を回り古新聞を集めている学校がある。高齢者と話し新聞をもらいNIEを行う地域交流として注目されている。また、1部40円程度の教材用価格もある。月4回でも教材費で賄える範囲だと思う」


 せきぐち・しゅうじ 都内の公立小学校教諭を経て、北区の小学校長を歴任。06年から「NIEタイム」を導入し、区内の全公立小中学校が取り組む「新聞大好きプロジェクト」につなげた。16年から日本新聞協会NIEコーディネーター。63歳。東京都出身。