東日本大震災で祖母と母を失った盛岡市上田の産業カウンセラー浜田紀子さん(44)は、自らの経験を基に、悲しみを抱える被災者の傾聴を続けている。11日で震災から7年8カ月。まちは復興が進むが、遺族らの心の傷は消えない。浜田さんは息の長い活動で寄り添い続ける。

 10日は、岩手大教育学部の麦倉哲教授が大槌町小鎚のマストで心の復興サロンを開き、遺族ら14人が参加。仮設住宅から町内の災害公営住宅に移った女性が表札のデザインを相談すると、浜田さんらは「こっちの文字の方が見やすい」などとアドバイスし、会話に花を咲かせた。。

 震災時、同市で非常勤職員をしていた浜田さんは、同町新町で洋品店を営んでいた母美代子さん=当時(62)=に電話したが、つながらなかった。美代子さんは祖母百合子さん=同(89)=を迎えに同町栄町の自宅に戻り、避難中にそろって津波に遭ったとみられる。百合子さんの遺体は2011年7月に見つかったが、美代子さんは行方不明のままだ。

 「同じ思いを経験した人のためにも被災地に関わり続けたい」と考え、13年に産業カウンセラーの資格を取得した。

 傾聴中に涙することもある浜田さんは「つらい思いを抱え込んでいる人も多く、無理して震災と向き合う必要はない。闘わずに受け入れていくことが大切だと思う」とかみしめる。