東日本大震災を受けて施行された津波防災地域づくり法が促す「最大クラスの津波」を想定した防災計画の策定が県内市町村で進んでいない。津波被害の最悪シナリオを公表し、事前の備えを進める狙いがあるが、震災から7年8カ月がたっても国から前提となる津波想定が示されないためだ。被害の最小化に向けて対策が急がれる半面、東日本大震災級の津波に対応したまちづくりを進める被災地からは「新たな浸水想定と復興計画の整合性が取れなければ、まちづくりの否定になる」と戸惑う声も上がっている。

 本県で想定される最大クラスの津波浸水域に関し、県は本県沖を含む東北地方太平洋沖地震と日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に基づいて設定する方針。だが「日本・千島海溝」の影響については国の検討会が審議中で、「国の検討状況を注視している状況」(県河川課)だ。

 県から新たな浸水想定が示されない中、沿岸市町村は震災後に独自の津波ハザードマップをつくるなど防災対策を進めてきた。だが、同法が求める最大クラスの津波に対応した計画作成には着手できずにいる。

 現在も震災以前の津波ハザードマップを公表している釜石市の千葉博之・防災危機管理課長は「浸水域が示されず更新できない」と困惑。震災津波を前提にした避難所の見直しや防災ガイドブックの配布などで対応している。