国政選挙が予定されない今年、注目を集めたのは9月の沖縄県知事選だ。直前に死去した翁長雄志前知事の後継として、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する前自由党衆院議員玉城デニー氏が、政府、与党が全面支援した前宜野湾市長の佐喜真淳氏に約8万票差をつけ初当選した。

 玉城氏は立憲民主と国民民主、共産、自由、社民の国政野党5党が支援。来年の統一選や参院選に向け弾みとの見方もあるが、焦点の野党共闘の流れに知事選の前と後で大きな変化はうかがえない。

 衆院で野党第1党の立憲民主が、参院でも国民民主に代わり第1党となったことで、むしろ不和の種が増えた印象もある。新閣僚に「政治とカネ」などの問題が相次ぎ表面化する中で行われた衆参予算委員会の計4日間の基本的質疑も、野党としての戦略に乏しく、焦点の入管法改正案の問題点や課題を含め追及に迫力を欠く感は否めない。

 共同通信の直近の世論調査で、野党支持率は最も高い立憲民主でも9・1%。共闘機運が盛り上がらないのは、実のところ野党の中でも実績として確信を持てないでいる証しではないだろうか。

 知事選で、自民党は菅義偉官房長官や人気者の小泉進次郎衆院議員が頻繁に沖縄入りするなど、物量で相手陣営を圧倒。対する野党は、玉城氏と別行動を取るなど表に出ない「戦術」に徹した。

 結果的に野党側が勝った格好だが、沖縄の有権者に、その存在感が薄かったのは容易に想像できる。玉城氏の勝利が、野党支持や共闘の効果を示すものとは言えまい。

 他方、選挙結果には公党として相応の責任があるのは当然。辺野古移設の動きを止めない安倍政権に対し、玉城氏は11日に訪米して、米政府や米世論に沖縄の民意を直接訴えるという。野党も国会で折に触れ政府の沖縄対応をただしてはいるが、単発の議論にとどまり統一感を欠くのは知事選対応さながらだ。

 その結果、玉城氏の孤軍奮闘が際立つ現状は、「1強」政権の強硬姿勢にも増して野党の「多弱」ぶりを浮き彫りにするようではある。

 米側でさえ「世界一危険な飛行場」と認める普天間の返還が、日米で合意されて約20年。政府は、その実現には辺野古移設が「唯一の解決策」との姿勢を堅持する。

 普天間の運用停止こそ急がれる状況で、米側と再交渉する余地はないのかどうか。辺野古に代わる解決策は本当に考えられないのか。それが国策である以上、国会で議論を喚起するのは「沖縄の民意」を背にする野党の責務。その取り組みは、共闘への試金石ともなるだろう。