「新聞を活用した言語活動の充実」を国語科で探究する釜石市の唐丹小(佐々木康人校長、児童46人)は学校公開で研究成果を発表した。児童は記事や写真から意見を交わし、考えを深めた。唐丹中(菊地正道校長、生徒35人)も道徳の授業を公開し1年生は本紙の企画「てんでんこ 未来へ」を題材に命の大切さを考えた。教育関係者174人が両校を訪れ新聞を使った授業改善の提案に理解を深めた。

▼読み比べ考える

スポーツの厳しい練習の是非を論じる投稿文を読み、自分自身の考えをまとめクラスメートと話し合う唐丹小6年生

 唐丹小5、6年の複式学級では、新聞を読み比べる授業が展開された。6年生8人は、厳しいスポーツの練習を論じる投稿を基に賛成、反対に分かれ話し合い▽意見や主張▽理由や根拠▽反対意見に対する反論▽自分の考え-の文章構成を意識して意見をまとめた。

 武藤詩織さんは「新聞を読み、気にしていなかったことを考えることができた」と視野の広がりを実感。6年生は学校生活や私生活について岩手日報に投稿するといい「自分の意見をしっかり書きたい」と意欲をみせた。

二つのジャイアントパンダ・シャンシャンの記事を読み比べ、書き手の意図を考え見出しを考える唐丹小の5年生

 5年生5人はジャイアントパンダ・シャンシャン(香香)の二つの記事を読み比べ、写真や記事から書き手の意図を読み取り見出しを考えた。自宅で新聞をよく読む川原悠翔(ゆうと)君は「見出しにたくさんの工夫があることが分かった。記者の意図を考えながら読めば、もっと新聞が楽しくなる」と新発見に笑顔をみせた。

 担任の立花由利教諭(47)は「身に付けさせたい力を考え工夫している。児童は記事を手がかりに考えを深め、言語能力を高めている」と国語科における新聞活用の有用性を説いた。

▼命の大切さ学ぶ

新聞記事を読んで考えを深め「てんでんこ」に込められた思いについて話し合う唐丹中1年生

 唐丹中1年生11人は、東日本大震災の津波発生時に「てんでんこ」ができた人、できなかった人、それぞれが抱える苦悩などを記事から学んだ。

 自分自身に重ね合わせ、言葉を理解し命を守る大切さと難しさを再認識。未来の子どもに伝えたい「新しい『てんでんこ』」を3グループで考えた。

 まとめでは各グループとも「自分の命を守ることを第一に逃げる」と強調。「家族も逃げていることを信じる」「亡くなった人の分まで生きる」と前向きな言葉が並んだ。

 柏舘直子教諭(36)は「新聞を通して言葉に込められたさまざまな思いや捉え方を知り、自分の命を大切にすることが他者の命を守ることになると気付いてほしかった」と狙いを語る。

 久保翔太さんは「新聞には教科書に書かれていない人々の考えや経験が記されリアルに伝わってくる。身近に感じ印象に残る」と新聞を通した学びを実感していた。

単元構想作成を工夫

 唐丹小は2017、18年度、釜石市教委の指定を受け「表現力を育成するための国語科学習指導の在り方-新聞を活用した言語活動の充実を通して」をテーマに研究し、9月21日の学校公開で成果を発表した。

 新聞活用と長年取り組む新聞作りが2本柱で、国語科単元指導事項配列表を作成し新聞活用が有効な単元を探り、単元構想を作った。

 配列表は教科書の単元に沿い指導事項と、新聞活用が有効な単元に活用法を例示。単元構想は▽ステップ1・配列表を基に指導事項を確認▽ステップ2・新聞活用に関わる言語活動の構想▽ステップ3・指導計画と本時展開案の作成-の3段階で、新聞活用の有用性や思考を伴う言語活動などを確認できるように工夫されている。

 学校公開に参加した県新聞教育研究協議会長の高橋和江岩泉小校長は「配列表や単元構想に感心した。特に3段階の単元構想。教科書中心の授業に新聞を取り入れるのは難しいことだが、手順を示し、初めての先生も取り組みやすい仕組みをつくっている」と評価する。


研究主任・石橋豊子教諭 言語活動の充実に力

 唐丹小の研究主任・石橋豊子教諭(53)に、新聞活用の利点や効果を解説してもらった。

 新聞を使った学習で、子どもたちの読むことへの意識が高まり、書くことに対する抵抗感が減った。文章や話し言葉の中で、考えの根拠や理由がしっかりしてきており、言語活動の充実につながっている。

 毎月1回だが、朝学習で全校スクラップに取り組んでいる。気に入った記事を見つけ紹介する活動は教育活動を支え、書く・聞く・話す国語科でも生きている。

 分からない言葉を質問する児童も増え語彙(ごい)力の向上にもつながっている。興味を持って覚え、次も読みたいと思う気持ちは主体的な学びそのものだ。

 国語科の単元指導事項配列表は、昨年の学年担当が作成し教員間で共有している。私自身、担任が昨年の4、5年の複式学級から今年は1年に変わったが、配列表があることで、新聞を活用する単元が一目で分かり、ほかの単元でも利用できないか考えられる。

 低学年は、読み聞かせや写真のスクラップ、はがき新聞作りが中心だが、子どもたちは新聞に親しみを覚えている。高学年の学習に結びつくことを期待している。全校で取り組むことが肝要だ。

(談)