本格的な寒さを前に、燃料の値動きが気になる。灯油やガソリンは4年ぶりの高値になっている。

 灯油について、県生協連は18リットル配達価格を当面1854円に決めた。昨年の今頃より500円以上高い。今冬の1世帯当たり金額は10万円を超す恐れもあるという。

 原油価格の高騰によるものだが、それによって電気料金も上がる。岩手のような北国の冬に、暖房用の灯油や電気は欠かせない。家計には痛い出費となりそうだ。

 ガソリンの高値も続く。レギュラーガソリン1リットルの全国平均は4年ぶりに160円を突破した。岩手でも158円を超えている。

 公共交通機関が整っていない地域では、通院や買い物、通勤で車に頼らざるを得ない。冬の暮らしは厳しさを増すことになろう。

 岩手は賃金の上昇が鈍く、雇用者所得は前年割れしている。年金暮らしの人も多い。震災の被災者らを支援する「福祉灯油」の継続など、公助も求められよう。

 原油高騰は、トランプ米政権のイラン制裁による中東情勢の不安が大きい。ただサウジアラビア政府幹部が増産に前向きな姿勢を示し、今週はガソリン、灯油とも値下がりが予想されている。

 しかし11月には米国がイラン産原油の禁輸を狙い、制裁の第2弾を始める見通しだ。記者死亡事件でサウジの孤立が強まれば供給不安に拍車がかかり、さらなる高騰につながりかねない。

 懸念されるのは地域経済への影響だ。灯油やガソリンは生活必需品だけに、値上がりする時には他の消費を減らす傾向が見られる。

 冬場の気候にもよるが、個人消費は冷え込む可能性が高まってきた。原油高が経済の足を引っ張らないか、政府や県、関係機関は細心の注意を払う必要がある。

 既に原油高により、紙や繊維、合成樹脂などの素材は値上げが相次いだ。それらによって製品を作るメーカーのコスト負担が増えれば、日用品価格に影響が及ぶ。

 地域経済の核であるサービス産業も苦境に立たされている。特に燃料や石油関連製品をよく使う業種は経営の重荷になっており、広く中小企業の業績を圧迫しかねない。

 これまで日本と世界の経済は順調に拡大してきたが、先週は日米の株価が大きく下落するなど陰りが見られる。米中貿易戦争の激化もあって、景気の拡大局面が終わるとの見方も出てきた。

 来秋の消費税10%への増税に耐えうる強い経済をつくる。安倍政権には大きな宿題がある。消費を落ち込ませる原油高をどう乗り切るかが、最初の関門になるだろう。