一関市の中里小6年、菅原至恩(しおん)君が2018こども将棋王決定戦で優勝した。将棋を始めたのは5歳で棋力はアマ三段。「将来は奨励会に入りプロを目指したい」と大きな夢を描く。応援したい

▼奨励会はプロ棋士の養成機関で、6級から三段で編成。三段になると半年のリーグ戦に臨み、上位2人がプロである四段に昇段する。26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までにプロになれなければ強制的に退会だ

▼全国から集まった「神童」や「天才少年」のうち、プロ入りできるのは原則、年に4人の狭き門。多くの若き勝負師たちが、青春のすべてをかけて将棋に打ち込みながら夢破れて将棋界を去る。残酷でも結果がすべての世界だ

▼「将棋の子」(大崎善生著)には、夢を果たせなかった彼らの切ない姿が描かれる。借金苦から夜逃げしたり、世界放浪の旅に出る者、一念発起して司法書士への転身…

▼本県関係では、大学時代にアマの全国タイトルを獲得した強豪2人が三段リーグ編入試験に挑んだが、はね返された。現在は小学生と高校生2人が在籍し、本県初のプロ棋士を目指している

▼年齢制限で退会しながらアマで高い実績を上げ、プロ編入試験に合格した瀬川晶司五段の例もある。その物語は「泣き虫しょったんの奇跡」として映画化もされた。何事もあきらめないことが大切だ。