一関市萩荘の一関高専生産工学専攻2年の阿部優樹さん(21)は、日本加速器学会(羽島良一会長)が学生や若手研究者を奨励する年会賞(ポスター部門)を受賞した。表彰は7回目で、阿部さんら専攻科を含む高専からの受賞は全国初。国際リニアコライダー(ILC)に関する産学の共同研究が評価された。阿部さんは本県などの北上山地(北上高地)へのILC誘致実現を見据え、今後の研究意欲を高めている。

 研究は、阿部さんと同校の藤原康宣准教授(46)、同校の先輩、一関市の企業2社、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で2016年から実施。

 ILCは、超電導加速空洞で素粒子の電子と陽電子をほぼ光速に加速してぶつける。阿部さんらは同空洞を納める長さ12メートルの円筒状の容器「クライオモジュール」と土台のつなぎ目に設置し、同容器の位置を遠隔操作で調整するアクティブムーバーの機構を研究した。素粒子の加速、衝突に重要な役割を担う。

 7分の1の模型を使い、回転運動を直線運動に変えるカムを使う二つの方式を研究。両方式とも目指していた10マイクロメートル(1ミリの100分の1)を上回る1マイクロメートルの精度を実現し、実機での研究に着手している。従来は位置調整は手動だったが、遠隔操作が実現すれば大幅な労力軽減につながる。

 新潟県長岡市で8月に開催された同学会の年会で受賞した阿部さんは「先生や先輩、企業の方々らチームで取り組んできた成果が全国規模の学会で評価されたことがうれしい」と喜ぶ。

 来春からはつくば市のKEK総合研究大学院大学に進学予定で「ILCには加速器の技術者として関わりたい」と夢を膨らませる。