胆江医療圏の小児医療が深刻な局面に陥っている。同医療圏の小児科で中核的な役割を担う奥州市水沢大手町の市総合水沢病院(一般145床)の唯一の小児科常勤医が退職の意向を示し、入院の受け入れを11月末で休止。他の医療機関も慢性的な小児科医不足で、保護者らの不安は大きい。背景には移転新築を巡る市との対立があり、医療崩壊を防ぐ対応が急務だ。

 同病院長で小児科長の半井(なからい)潔院長(68)は2日記者会見し、11月末で診療をやめ、患者の他医療機関への紹介を終えた年末に退職する考えを示した。老朽化した同病院の移転新築計画に対する市の対応のまずさを退職理由に挙げた。

 小児科は別の常勤医の退職に伴い、昨年6月から常勤医1人、非常勤医2人の体制。半井院長は年間延べ約2万人の外来、入院患者をほぼ1人で診ており「午前7時前から病棟回診している」と過酷な状況も漏らした。同病院によると、非常勤医2人の去就も未定だ。

 同病院の小児科は2017年度、肺炎や気管支炎、胃腸炎など1日平均30人弱の入院を受け入れており、未就学の娘2人を入院させている奥州市水沢佐倉河の会社員大崎志保さん(28)は「育児指導もしてくれる半井院長だからこその安心感や信頼があった。今後のことを考えると不安でいっぱい」と漏らす。