東京医科大に続き、昭和大の医学部入試で不正が発覚した。「やはり」というべきか。多くの大学で女子の合格率が男子を下回る実態が明らかになる最中のこと。新たな疑惑がさらに複数で浮上し、文部科学省は調査拡大を決めた。女性や多浪であることは、それほど疎まれるのか。公正さが求められる入試で明らかにされつつある実態は、医療界を取り巻く現実をあぶり出している。

 昭和大では医学部一般入試の2次試験で、高校から提出される調査書の評価を現役と1浪の受験生に一律加点していた。得点操作は2013年以降、1期と2期入試の両方で実施。さらに2期試験では「確実な入学が見込める」などとして、本来補欠に回るはずの卒業生の親族を優遇、正規合格させていた。

 東京医科大で女子や多浪生への不正な得点操作が明るみになったのは8月。文部科学省は、医学部医学科を置く全81大学を対象に、過去6年間の男女別合格率を緊急調査した。その結果、東京医科大を除く、いずれの大学からも不適切な得点調整はないとの回答を得ていたが、疑惑が広がる現状をみる限り、偽りの報告をしていたということか。

 緊急調査の速報によると、昭和大では男子合格率が6・54%に対し、女子は4・25%と、その差は1・54倍。順天堂大の1・67倍に次いで格差が大きい。しかし、女子の合格率が低い状況に対して昭和大は「性別による差別はない」と強調する。

 大学は医師養成とともに、付属病院やその他多くの地域医療機関に医師を派遣する機能を持つ。出産・育児に直面した女性医師が、過酷ともいえる労働環境に休職や離職の道を選ばざるを得ない現実は、経営的な視点を持ち込むまでもなく社会的な損失に違いない。かといって産むかどうかも分からぬうち、予測がつかない将来に対して、その可能性だけで恣意(しい)的な判断をするのは公平性を欠く。

 若い世代からは「今の時代に女性差別があるとは信じられない」「女性や多浪を嫌うなら、はじめから募集要項に記載すべきだ」など、落胆とも怒りとも取れる声も聞く。

 県内は医師不足が続くが、県立病院で働く女性医師数は年々増える傾向。育児のための短時間勤務の仕組みを整えるなど「ママドクター」へのサポートをあの手この手で進めている。

 医学部を置く国公私立の大学や病院が参加する全国医学部長病院長会議は、入試の公平性担保につながる指針を今後まとめる。不正問題は一部の大学にとどまる話でない。医療全体への信頼が揺らぐ事態と受け止め、徹底解明が求められよう。