恋し浜ホタテが帰ってきた―。まひ性貝毒の影響で4月から出荷自主規制が続いていた大船渡市三陸町綾里小石浜地区の特産ホタテガイ「恋し浜ホタテ」の出荷は18日、約半年ぶりに再開された。東日本大震災から着実に復興の歩みを進める中で襲った長期の水揚げ自粛。苦境を支えたのは、全国の「恋し浜ファン」の応援だった。漁業者は収穫の重みと、消費者とつながる喜びをかみしめ、再生の一歩を踏み出した。

 同日午前6時の小石浜漁港荷さばき場。綾里漁協の組合員5人が水揚げ間もないホタテを手早く箱詰めし、計約50キロを市内外の飲食店に発送した。「懐かしい。震災の時みたいだ」と、津波被害から約1年半後に出荷再開にこぎつけた当時を振り返る声も上がった。

 小石浜を含む三陸町海域では、まひ性貝毒が9月下旬から3週連続で国の規制値を下回り、今週、県漁連などが独自に定める基準も満たしたため、ようやく殻付き鮮貝の出荷も可能となった。身が大ぶりで濃厚な甘みが自慢の恋し浜ホタテだが、出荷できなかった夏場の高水温などの影響で死滅したものもあった。

 この日水揚げした同漁協組合員の松川高祥(たかよし)さん(38)は「喜びよりも不安が大きく、『(ホタテが)生きていてくれ』と思いながらロープを引き揚げた」と打ち明けた。