「一つの情報をうのみにせず多角的に考えることが必要」「情報の信ぴょう性を見極める力を持つことが大事だ」。陸前高田市の高田東中(昆野賢寿(けんじゅ)校長、生徒187人)3年B組の社会科の授業。二つの社説を読み比べ、マスメディアと政治の関係を学び終えた生徒は次々に感想を述べ合った。

▼社説を読み比べ

憲法9条をめぐり異なる論調で書かれた憲法記念日の社説を読み比べ、「表現の自由」や「知る権利」などについて話し合う高田東中の3年生

 社説の読み比べは「暮らしと民主主義~民主主義と日本の政治」の単元で、マスメディアと政治の関係を学ぶ授業で行われた。

 取り上げたのは憲法記念日の5月3日付、憲法9条改正について賛成と反対の立場で論じる2社の社説。3、4人で構成した八つの班が2グループに分かれ、一方は9条改正に賛成の立場、もう一方は反対の立場の社説を読んだ。

 1こま目で「なぜ新聞記事の違いは生まれるのか」との課題に対する予想を考え、事実と主張の部分を色分け。9月27日の学校公開で行われた2こま目は、読み取った記事の主張を班ごとにまとめ、ほかの社説を読んだグループに説明した。

 金野節子教諭(40)が、新聞によって主張が異なる点を憲法の観点から考えるように促すと、生徒は「思想、良心の自由(憲法19条)」「表現の自由(同21条)」を挙げた。

 その上で、報道各社は表現と思想の自由が保障され異なった論調で書くことができ、国民は「知る権利」によりさまざまな情報を得ることができることを学習した。

▼既習事項の復習

 戸羽和(のどか)さんは「一つの情報をうのみにせずに、さまざまな視点を持つことが大切」、斎藤太旺(たお)さんと戸羽千紘(ちひろ)さんは「たくさんの情報から多くの考えを持ちたい」「自分の意見をしっかり持つことが必要だ」と授業を振り返った。

 公開授業の助言者を務めた沿岸南部教育事務所の千葉賢一主任指導主事は、新聞を活用した社会科の授業について「記事には『政権』や『安全保障』『憲法』など既習事項がたくさん載っている。社会科の授業で新聞を使うことは、学習を繰り返し、学びを深めることにつながる」と解説し、効果を強調した。


金野節子教諭 思考力、判断力を養う

 社説を読み比べる授業を展開した金野節子教諭に新聞を使った狙いや効果を解説してもらった。

 さまざまなメディアを通じ社会に関心を持つ生徒は増えているが、ネットなどの情報を疑うことなく受け入れた会話が聞かれる。もうすぐ有権者になる生徒には、情報が多種多様なことへの気付きや複数の視点から客観的に判断する力が必要だ。その点を踏まえ主張の違う社説を教材にした。

 生徒は小学4年の国語、5年のメディアの役割、中学3年の情報リテラシーなどの単元で新聞に触れている。だが掲載されている情報について「難しい」「量が多い」と敬遠気味だ。

 ネットの頻繁な更新など情報が氾濫する現在、新聞には、教科書にはないリアルタイムの情報を文字を拾いながらじっくり考えることができる良さがある。伝え合うことで、知識・理解が定着し、多面的・多角的な思考の力がつく。

 本授業まで数回、新聞を活用し生徒も慣れてきた。単元は3時間組んでおり、他社の社説も読ませたい。機会があるごとに記事に触れさせていきたい。

(談)