9月の北海道胆振(いぶり)東部地震では、土地の「液状化」が都市部の住宅に被害をもたらした。札幌市清田区では、倒壊の恐れがあると判定された家が80棟を超える。

 震度5強を観測した清田区は地盤が沈下して家々が傾き、道路が陥没した。同じ震度でも市内の別の場所は被害が少ない。土地の条件が明暗を分けたとみられる。

 被害区域は以前に沢が流れていて、それを火山灰質の土で埋めた造成地だった。液状化が起きやすい土地の条件だったと言える。

 広範囲が激しく揺れる地震でも、限られた住宅地に液状化が起きる。その例は初めてではない。千葉県我孫子市では東日本大震災で、沼を埋め立てた一部の宅地だけが液状化の被害を受けた。

 液状化は、地震の揺れにより地盤が液体のように流動化する現象を指す。地表に水や砂が噴き出し、地盤が沈下する。川や池、海を埋め立てた所で生じやすい。

 震災の時は岩手でも、内陸や沿岸南部で確認された。各地で大きな地震が立て続けに起きているだけに、対策を急がなければならない。

 しかし、液状化の危険区域を示すハザードマップを作成している市町村は県内で盛岡、久慈の2市にとどまる。全国でも2割にすぎず、ホームページだけで各戸配布していない自治体も目立つ。

 土砂災害などと違い、液状化のマップ作成は法で義務付けられていない。地下水などの調査も必要で、職員数が限られた町村には負担が大きいことも背景にある。

 だが災害から身を守る第一の対策は、今住んでいる、住もうとする土地を知ることだ。そのためには行政の情報提供が欠かせない。

 一般の人でも地形を詳しく見たり、国土地理院の地図などさまざまな資料を使えば、ある程度は地盤の強弱が分かる。液状化の恐れを推測することもできるが、素人ではハードルが高い。

 今年相次ぐ豪雨、地震災害から得られた教訓は、住民がさまざまなリスクを自ら想定し、備える必要があることだった。地震の場合、活断層やその震度分布を頭に入れるだけで十分とは言えない。

 備えを促す上で液状化のマップは必要だ。技術・費用を国や県が支援する仕組みをつくり、早期に全市町村が作成することが望ましい。

 広島で4年前に起きた土砂災害は、もろい地質上での宅地開発が被害を増幅させた。マップ作成は、安易な開発への警鐘にもなる。

 災害が巨大化、激甚化する中、一人一人が住む土地の成り立ちを知る。それを避難の心構えや防災意識を高める第一歩にしなければならない。