穏やかな雰囲気の「喫茶carta」

 「いらっしゃいませ」。ドアを開けると穏やかな空気に包まれる。盛岡市の「喫茶carta(カルタ)」は、カウンター7席と2人掛けのテーブルが一つの小さな店。優しい明かりの中、ピアノやギターをベースにした音楽が流れ、訪れた人たちはコーヒーやケーキなどを味わいながらそれぞれの時間を過ごしている。

 同店を営む加賀谷真二さん(48)と妻の奈穂美さん(48)は秋田県出身。真二さんは会社員として10年以上働き、そのうち3年ほどを盛岡市で過ごした。「盛岡の持つ空気が気に入った。ここは自分が落ち着ける場所」と魅力を語る。喫茶店の開業を考えたとき、東京都内なども考えたが、街のゆっくりとしたペースが自分たちに合っていることが決め手となり2006年9月、現在の場所にオープンした。

 ふんわりとした食感で甘さ控えめの「シフォンケーキ」(税込み430円)は、マロンなど季節に合わせて定期的に味を変更。中深いりのコーヒー「23(フミ)」(同540円)は苦味と酸味のバランスが良く、毎日飲んでも飽きない味を目指した。そのほか、深いりコーヒーの「37(ミナ)」や、ハーブの効果や相性を学んだ奈穂美さんがブレンドするハーブティー、自家製パンを使ったメニューも人気だ。

マロンのシフォンケーキと中深いりコーヒー「23」

 「carta」とはポルトガル語で「手紙」という意味。「1人で過ごす時間を大事にしてほしかった。自分の時間を取り戻すような。それってどういうシチュエーションだろうと考えて、『手紙が書けるくらいゆっくりできる空間』のことなんじゃないかと思った」と願いを込めた。コンセプトに近づけるため、カウンター席を多めにし、来店客同士の目が合わないような配置にするなど細やかな工夫をしている。

 来店客は女性が多く、20代から60代までと幅広い。本を読んだり、ぼーっとして過ごしたり。最近ではスマートフォンを見る人も増えてきたが、中には実際に「ここで手紙を書きたい」と訪れる人もいる。

 店を続けるうちにミュージシャンとの縁が広がり、2010年ごろからは県公会堂や内丸教会、店内などを会場にライブを企画するように。店の一角にある棚にはおすすめのCDが並び、店内で聞くことや購入することができる。アートへの関心も高く、絵の企画展などを定期的に開催。同市のギャラリーとコラボして特別メニューを提供することもある。

 真二さんは「これまで1人1人のお客様を大切にしてきた。開店から12年たって、やっと少しだけ受け入れてもらったような気がしている。これからの10年は、もっと風通しのいい空間にしていけたら」と夢を語る。

memo 「喫茶carta」は盛岡市内丸16の16。営業時間は午前11時から午後8時まで(冬至から春分の日までは午前11時から午後7時まで)。定休日は水曜と最終火曜。電話は019・651・5375。10月19日は、盛岡市の岩手銀行赤レンガ館でインストゥルメンタル・デュオ「mama!milk(ママミルク)」の演奏会を予定する(午後6時半開場、午後7時開始。チケット前売り3千円、当日3500円)。営業日の変更、イベントの詳細などは「喫茶carta」ホームページで知ることができる。