大船渡市三陸町の越喜来(おきらい)中は9月、地元に不来方高音楽部を招いてコンサートを開き「日本一の合唱」との初共演を果たした。素晴らしい歌声も印象的だったが、閉会後の出来事も思い出深い。

 まずは会場を出る高校生をハイタッチで見送り、次は帰りのバスに並走しながら「ありがとう」「また来てね」と声を掛け続ける。そろそろ戻って来るかなと思っていたが、生徒の全力疾走は止まらず、盛大な見送りは20分以上続いた。

 取材に赴くといつも元気いっぱいな生徒たちは、他社の記者をTシャツの柄から「チョップさん」と呼ぶなど親しみやすさも魅力。青春真っ盛りという表現がぴったりで、私もすっかり彼らの「ファン」になってしまった。

 そんな同校は2020年に一中との統合が決まり、生徒会長の及川正嗣(まさつぐ)さん(3年)に思いを聞く機会があった。他の生徒同様、いつもはひょうきんな彼だが、この時はきりりと表情が変わった。「地域とのつながりが強い『越喜来の生徒』として意識を高く持ってほしい」。誇りが、力強い言葉にあふれた。

 越喜来地区の子どもたちは現在の中1以下の世代から、一中に通う。全力で楽しみ、考える-。そんな姿は変わらずに受け継いでほしいと思う。

(長内亮介)