東日本大震災で被災し、再興を目指して仮設店舗で奮闘してきた陸前高田市の商業者が、新たな出発のときを迎えている。9月末で仮設施設の利用期限を終えた126カ所のうち、約80カ所が店舗の無償譲渡(払い下げ)を受ける見通し。当面の拠点が固まった事業主には安堵(あんど)が広がる。だが、家賃や土地貸借料、税負担が生じ、将来の解体費用を懸念する人も。震災から7年7カ月。商店主らは不安を抱えながらも、震災後を支えてくれたプレハブ店舗と歩みを進める。

 市によると、同市内の仮設店舗施設は9月末日現在、134カ所(1施設に複数事業者の入居を含む)あり、半分以上が払い下げとなる見込みだ。払い下げが無償になり、同市竹駒町で菊池畳店を営む菊池純一さん(61)は「ほっとした」と胸をなで下ろす。仮設とはいえ軽量鉄骨造りの店舗はまだ長期間利用でき「市街地は土地もないので再建当初からずっとここでやっていくつもりだった」と意欲は変わらない。

 仮設商店街ごと払い下げて運営する事業者もいる。同市高田町の「高田大隅つどいの丘商店街」(9事業所)で「カフェフードバーわいわい」を経営する太田明成さん(52)は、仮設商店街の所有者となる道を選んだ。

 市内の仮設店舗では当面、1年間の特定延長を受けて本設を目指す事業者も営業する。太田さんは「期限延長と比べ、払い下げは税負担の不公平感が生まれる。不公平感のないような政策を実現してほしい」と願う。