花巻市の東和中(菊池正樹校長、生徒222人)3年生は、東日本大震災の復興教育にNIEを取り入れ、学びを深めている。岩手日報社・震災デジタルアーカイブ「犠牲者の行動記録」の出前授業のほか、投稿などで発信する意見文を執筆。生徒は「被災地訪問前に震災の教訓を学び、現地でしっかり学習できた。皆に伝えたい」と意欲を示す。

 被災地訪問は昨年の宮古市田老に続き2回目で、9月20日に陸前高田市を訪れた。事前学習として同月11日、震災当時の大船渡支局長で報道部次長の鹿糠敏和記者が出前授業を行った。

 鹿糠次長は体験談後、犠牲者の避難行動をデジタルの地図上で再現した「行動記録」を使い陸前高田市の被害を説明。「亡くなった人々の教訓を生き残った人の命、これからの(若い)人の命につなげることが大切。そのために被災地訪問など震災を忘れない行動が大事だ」と強調。集中豪雨や地震など内陸でも想定される自然災害についても説明し防災の重要性を説いた。

 現地では、高田松原を守る会会員や市職員から復興への思いやまちづくりの説明を受け、キャンプ場の草取り奉仕を行った。

 3年3組の26人は陸前高田市訪問の感想文を岩手日報への投稿や文化祭で展示する意見文に書き直した。

 一連の学習を振り返り、文章を推敲(すいこう)することで、岩手県人として震災復興を沿岸被災地と共有し、生き方に生かすのが狙いで、意見文は学級新聞にも載せる。

 小田島優斗(ゆうと)さんは「行動記録の授業と被災地訪問から、犠牲者と被災者の思いを深く考えられた。皆に伝えたい」、佐々木花純(かすみ)さんは「出前授業で陸前高田の人々の思いや命を守るまちづくりがよく理解できた。友人の感想文を読み、文章を推敲することで考えが整理できた」と熱心に執筆していた。


学年主任・上野徳子教諭 新しい視点芽生える

 復興教育にNIEを取り入れた3学年主任の上野徳子教諭(52)に出前授業などの効果を聞いた。

 実体験に基づいた講話や犠牲者の残した教訓の説明は、生徒に多角的な新しい視点を与えた。

 出前授業後の感想は「震災後、できることは聞くことだけだった。これからは(聞いたことを)生かし、人のため、自分のため生きていきたい」「生きたかった命を輝かせるため、古里のこれからを考えなければならない」などと記され、復興学習に真剣に向き合うきっかけになった。

 また、新聞が報道してきたことを学ぶ機会にもなり、課題を掘り下げて考える姿勢を育みたい。

(談)