【福井国体取材班】日本ボクシング連盟による不正判定疑惑の一つに挙げられた2016年岩手国体の一戦。この試合でまさかの敗戦を喫したのが、8日の福井国体成年男子バンタム級で準優勝した佐々木康太選手(24)=ALSOK岩手=だ。「被害者」として疑惑の渦中にあったボクサーは「もう踏ん切りはついている。結果が覆るわけじゃない」と胸中を語った。

 初優勝を花道にするつもりだった2年前の地元国体。3回に2度ダウンを奪いながら、奈良県の選手に1―2の判定で敗れ、初戦で姿を消した。

 終了のゴングが鳴ると、案の定、相手の手が上がった。ショックより「やっぱり駄目なんだ」と思った。「奈良判定」はボクシング界では有名だった。ボクシング岩手の主将として「応援してくれたみんなに申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と振り返る。周囲から「勝ってたぞ」と慰められても「じゃあ、なんで負けなんだ」と敗戦を受け入れられなかった。

 7月に疑惑が表面化し、テレビでは連日、佐々木選手の試合が取り上げられ「自分の試合が一番ひどかったんじゃないかな」と思い返す。マスコミから取材依頼が殺到したが「国体に向け練習に集中したい」と全て断ってきた。

 先月、日本連盟の第三者委員会は不正審判が一部存在したことを認めた。佐々木選手の一戦がそれに含まれるか、どうかは明らかになっていない。だが、もう調査結果に興味はない。今春、現役復帰した24歳は「今後のことの方が大事」ときっぱり言い切った。