わいせつ問題を起こした教員の処分情報共有の記事に関心を持ちスピーチする大畑柚希さん(1年)と発表を熱心に聞くクラスメート

 新聞記事について意見を述べるクラスメートのスピーチに、熱心に耳を傾ける生徒たち。二戸市の福岡高(佐々木敬二校長、生徒540人)の1学年5クラスは、毎朝、ショートホームルームで新聞スピーチを行っている。

 スピーチは「今日のニュース・3分間スピーチ」、「私のNEWS」。日替わりで当番を回すクラスや1人が3日間連続でスピーチし次の人にバトンタッチするクラス、記事をプリントして全員に配るクラスなど、呼び方も方法もクラスごとにさまざまだ。

 同校を訪れた6日も各教室で、1人が教壇に立ち、気になるニュースについて発表していた。

 当番を3日間連続で受け持つA組は田代明莉(あかり)さんの3日目のスピーチ。「北朝鮮の水爆実験」、「県人のスポーツクライミング世界ユース選手権ボルダリング優勝」に続き、米国ニューヨークのメトロポリタン美術館学芸員が二戸市浄法寺の漆掻(か)き職人らを訪ねた岩手日報の記事を選んだ。

「今日のニュース・3分間スピーチ」「私のNEWS」などの発表で1年生が使った原稿

 田代さんは、学芸員が漆のネットワークづくりを提案している点を取り上げ、「二戸ブランドの海外発信がうれしい。記事を読み、あまり知らない地域の魅力に気付いた。地域活性化のために特産品を大切にしていきたい」と締めくくった。

 C組では大畑柚希(ゆずき)さんがわいせつ問題を起こした教員の処分情報共有に文部科学省が乗り出すことを伝える記事に関し感想と意見を述べた。教師を志す大畑さんは「教員のわいせつ事案は許せず、再雇用はあってはならない。防止へ向け教育委員会と教員の活発な話し合いも必要。私たちにとっても身近な問題と考えてほしい」と訴えた。

 新聞スピーチについて、大畑さんは「身近な問題や社会で必要な知識をみんなで共有できる」と強調。田代さんは「映像や音声に比べ新聞は記事を読むから記憶に残る」とした上で「スピーチは難しいと思ったが、考えをまとめる訓練になる。友人の話もさまざまな情報に触れる機会となり楽しい」と充実した表情だった。

 同校では、教材用に岩手日報と全国紙1紙を全クラス分購入し各教室に1部ずつ置く。佐々木校長は「新聞を使った学習は、生徒の視野を広げる。地域課題の掘り起こしや魅力を再発見する情報も得られ、現在、総合的な学習で取り組むカシオペア講座でも生かしたい」と利用促進を考える。


 2年生はエッセイリレー 小論対策に知識蓄積

新聞記事をスクラップし要約や意見を書き込んだ2年生の「エッセイリレーノート」

 福岡高2学年は、関心を持った新聞記事を所定のノートに貼り、要約や意見を書き込む「エッセイリレー」に取り組んでいる。

 クラスごと、出席番号順にノートを回す。基本的に持ち時間はノートを受け取ったその日一日。政治、経済、国際、文化、科学技術、環境、医療、福祉、メディア・情報、教育、社会の11分野から1カ月以内の記事を、重複しないように選び、要約と意見を400字以内で記入する。

 狙いは、小論文、面接対策。視野を広げ、社会常識・思考力・表現力を身に付けることだ。小論文担当の舘沢貴博教諭によると、5月のスタート以来、生徒たちは、クラスメートの切り抜いた記事や意見を読み、興味のなかった分野への関心を高め、読解力も徐々に向上。論理的な思考力も付いてきたという。

 A組・佐藤公美(なおみ)さんは「新聞は、テレビなどのニュースと比べじっくり考えることができる。これからは地域を知るため地元の記事を読んでいきたい」と語る。

 舘沢教諭は、推薦入試などで小論文が増えている点を挙げ「受験が近くなってから新聞を読むのでは間に合わない。今から取り組み、題材を蓄積してほしい」と期待する。


  指導担当の3教諭に聞く  友人の選ぶ記事、刺激に

 新聞スピーチ、エッセイリレーを指導する1年の大津美保子教諭、南舘晋教諭、2年の舘沢貴博教諭に新聞を活用する意義を聞いた。

 (聞き手・読者センター 礒崎真澄)

 -スピーチに新聞を使う方法はさまざまのようだ。

 大津「担任の教師に任せている。『地域に目を向けてほしい』との思いから記事を選ばせている教師もいる」

 -南舘教諭の1年A組は3日連続の発表だ。

 南舘「続けることで、新聞への抵抗感がなくなる。意見のまとめ方や発表の内容も洗練されてくる」

 -新聞スクラップを回すエッセイリレーや新聞スピーチの意味は。

 舘沢「ネット社会の中、ニュースは新聞を読まなくとも入る時代。だが、そのニュースは興味があることに限られる。一方、新聞は身近な課題や時事問題など新鮮な情報に触れられる。また『みんなは、こんなことに興味があるんだ』など、友人の選んだ記事や意見を刺激にしてほしい」

 大津「現在の生徒は、新聞を読むことが日常化していない。活字を通し世の中の出来事をキャッチするきっかけになればいい」

 -生徒の反応は。

 南舘「クラスメートが何を話すか。生徒たちは身を乗り出して聞いている。コメントする教師側も緊張感があり、毎朝、楽しみだ」