子どもたちが新聞のスクラップやコピーを手に、話し合いを始めた。秋田県由利本荘市の大内小(佐々木照子校長、児童113人)が全校で取り組む新聞集会だ。児童は積極的に発言し友達の意見に耳を傾けた。

 新聞集会は7月と12月の年間2回。低学年、中学年、高学年に分かれ、朝活動と朝の会を合わせた30分間で一斉に行われる。

九州豪雨や人口減少について話し合った結果を発表する高学年グループの児童

 今回、低学年は2年生が1年生に動物をテーマに選んだ記事を紹介し、中学年は「食べられるのに廃棄される食品(食品ロス)」の記事を巡り意見交換。高学年は、児童の話題を基に教師が選んだ「九州豪雨」「人口減少」「新作アニメ映画」「英語に特化した山村留学」の四つの記事から一つを選択し話し合った。

 高学年の児童は、選んだ記事の要約、注目した言葉、感想・意見をまとめたスクラップファイルを持参。3~5人の班に分かれ▽記事を選んだ理由▽注目した言葉▽感想▽メンバーの意見に反応▽分かったこと▽自分はどうしたいか-をポイントに意見交換した。

動物をテーマにした記事で、1年生に新聞の魅力を伝える2年生

「写真が印象的で選んだ」「自分の身は自分で守ることが大切」「豪雨があったら、助け合い避難したい」など、一人一人が発言。

 九州豪雨を選んだ6年生の佐々木優来(ゆら)さんと斎藤地唯磨(ちいま)君は「みんなの見方は同じところがある半面、違いもあり参考になった」「この地域にも川があり、豪雨被害はいつ発生するか分からない。警報が出たらすぐに逃げられるように避難所を確認したい」と、多様な考えを共有し防災への意識を高めた。

 食品ロスを考えた4年生の工藤流聖(りゅうせい)君は「接客や広告で売り残さない工夫が必要。食事を残さないようにしたい」とまとめた。難しい字を母親に聞きながら毎日、新聞を読むという菊地芽衣(めい)さんも「新聞は地域や全国の出来事が分かり面白い。みんなで読むといろいろな考えが聞けて楽しい」と刺激を受けていた。

 動物の記事で1年生に新聞の面白さを伝えた2年生の佐々木湊多(そうた)君と奥山実加子さんは「大きな字や写真で記事を探すと楽しいことを教えた」と笑顔を見せた。

 佐々木校長(59)は「みんなよく記事を見つけ、考え、発表したことに感心した」と講評。新聞を活用した取り組みで思考力を深める児童を見守った。

 継続重視し広がる活動

新聞で天気や気温を調べ、熱中症予防を呼び掛ける保健委員会の「お天気新聞」

 大内小は2016年、上川大内小、下川大内小が統合し開校。上川大内小が12年から独自に取り組み15年に実践指定校となったNIE活動を引き継いだ。

 狙いは▽身近な情報源としての新聞に興味を持ち親しむ▽記事を読み、スピーチすることで社会に目を向け考える▽情報を収集し文章や写真で表現する力をつける-児童の育成。

 活動は新聞集会のほかNIEコーナー設置、朝スピーチ、学習まとめの新聞作り、授業での活用、アンケートと幅広い。昨年からは保健委員会が熱中症予防活動として「お天気新聞」に取り組む。新聞で天気と予想気温を調べ、熱中症対策番組に印を付けたテレビ面とともに掲示する。

 NIE担当の石川昌弘教諭(50)は「新聞にはさまざまな情報が盛り込まれていることを教えたい」と、他の委員会にも新聞活用を広げる考えだ。

 活動の継続や家庭の理解促進といった課題への対策も欠かさない。年度ごとの研究紀要に各学年の実践を記録し、家庭学習のスクラップに保護者らのコメントを付ける。石川教諭は「誰にでも指導できるように引き継ぎを重視している。NIEの日常化には継続が大切」と強調する。


 佐々木照子校長に聞く 地域、社会と学習つながる

 全校でNIEに取り組む意義を佐々木照子校長に聞いた。

(聞き手・読者センター礒崎真澄)

 -新聞集会に、みんな生き生き取り組んでいた。

 「高学年の集会をみて、思考の深まりを感じた。1年生も幼いながら2年生の説明に一生懸命に感想を話し、質問していた。12月の集会では1年生にも記事の紹介をさせたい。日常的に子どもたちが新聞に触れるようにするためには刺激が必要。集会はその一環として行っている」

 -全校でNIE活動を行う意義は。

 「地域や社会の出来事と学校の学習がつながる。新聞を読む中で、体験を『こういうことなんだ』と再認識できる。それぞれの成長過程で、知識を生き方に結びつけることができることが新聞活用の利点だ。ものの見方や考え方も広がり、好奇心を旺盛にする」

 -今後の展開は。

 「NIEは形がなく、教師のアイデアが大切。新聞集会でも各学級担任が随所に昨年と違う内容を盛り込みレベルを上げていた。今後は、投書に取り組みたい。新聞が一方通行のメディアではなく、読み手から発信者になることもでき、世の中の人と交流できる可能性を子どもたちに伝えたい」