岩手日報の本社を訪れ、担当者から話を聞き、地方紙の役割について学ぶ筑波大付属駒場中の3年生

 東北地域研究学習として県内各地を訪れた東京都世田谷区の筑波大付属駒場中・高(林久喜校長、生徒858人)の中学3年生5人は、盛岡市内丸の岩手日報社で地方紙の役割を学んだ。一連の東日本大震災報道などを通じて、地域と共に歩む編集姿勢や多彩な取り組みの一端を知り、東京で触れる情報との違いを実感した。

 岩手日報社本社を18日、訪れた5人に編集、販売、事業部門の担当者がそれぞれ現状を説明した。藤原哲編集局次長は「岩手で起きている出来事をきめ細かく伝えるとともに、中央のニュースが岩手に与える影響を地域の視点で捉え発信している。インターネットでニュースを読む人も多いが、地域の結び付きを支え、世代をつなぐ役割をこれからも担っていきたい」と強調した。

 震災報道について、5人の関心は高く、震災発生から一日も休まず新聞を発行したことに驚き、班長の高畑和万(かずま)さんは「非常時の報道を途絶えさせないという使命感、地域の人々と密接な関係を築いていることを実感した」と感動。

 震災犠牲者の行動記録をデジタルアーカイブとして公開していることを紹介した藤原誠一販売局長は「災害はどこでも起こり得る。われわれの教訓を役立ててもらえば、一人でも多くの命を助けられる」と呼び掛けた。

 正木真(まさき しん)さんは「東日本大震災を他の災害の一つとして捉える全国メディアの一方で、地域の問題・課題として被災地を支え報道を続けていこうとする地方メディアの気概に触れた」とし、加藤祐人(ゆうと)さんは「震災の記憶を長く、そして広く伝えていくことが大切だと感じた」と述べた。

 同校の中学3年生123人は、東北地域研究にあたり関心のあるテーマを選び、16~19日まで岩手、宮城両県を訪問。被災地や内陸部を訪れ「漁業の震災被害の現状」「岩手の食文化」などの各分野で班ごとに活動し住民と交流した。

 地方メディアをテーマに選んだ高畑さんら5人は昨年から岩手日報を購読するなど準備を進めてきた。本富(ほんぷ)健斗さんは「新聞、特に地方紙には、情報伝達だけでなく住民のコミュニケーションツール(手段)の機能があることが分かった。インターネットに頼りすぎないようにしたい」。

 今回は三陸河北新報社気仙沼支社なども取材したといい、田辺陸さんは「それぞれの違いはあったが、地方紙は地域住民のために本気で情報を届ける姿勢が印象的だった。メディアによっては表面上の情報しか得られないことを理解し、深く考えていくことが大事だ」と、情報との向き合い方について意識を高めていた。