4コマ漫画「イワさんとニッポちゃん」のコメントや落ちを考える生徒

 県内の学校は各科目や復興・防災、キャリア教育などで新聞を効果的に活用し、読む力、考える力、話す力、書く力を育んでいる。工夫を凝らした授業が展開される教室を訪ね、学びの窓を開き、取り組みを紹介する。初回は大槌町の大槌高(五日市健校長、生徒209人)。英語やキャリア教育に新聞を使い、投稿にも取り組んでいる。(随時掲載)

 文理進学コース・3年C組の英語表現Ⅱの授業。担当の鈴木紗季教諭(36)が、ラミネート加工した写真を取り出し生徒に配った。新聞の切り抜きや鈴木教諭自身が撮影した約千枚から1人に1枚渡され、2人一組になり持ち時間2分で指示された構文を使い情景などを説明。相手を代えながら15分ほどスピーチする。

 このクラスの写真を使う授業は今春からで狙いは即興で英語を話すこと。ペアで補い合うことで英語が苦手な生徒もコミュニケーションができるという。鈴木教諭は「英語のスピーチには、想像力を働かせ即興で話す力と準備して話す力が必要。はじめは30秒ほどだったが今では試行錯誤を繰り返し2分近く話せるように努力してくれている」と生徒の成長に目を細める。

 「自学自習」も目的の一つ。家庭で新聞が利用できる点を指摘し「自立した学習者を育てることにつながる。身近な所で英語の練習につなげてほしい」と願う。

 今月からは、岩手日報掲載の4コマ漫画「イワさんとニッポちゃん」を活用した新たな取り組みを始めた。二つの吹き出しと最後の落ち(Punch line)のコマを空欄に。2人一組で、習った構文や単語を使い、最初はスピーチ、次にコメントを書き込む。

 生徒の自由な発想を共有し個別に対応する授業。実際のストーリーと違う内容になっても、楽しみながら、英語で考え、話し、聞き、書く力が培われる。

 新聞を使う授業に藤原さくらさんは「写真や記事を使った授業は新しい発見がある」とし、工藤元(げん)さんは「書くだけでなく自分で考え説明することで英語がリアルに身に付く」、倉本忍さんは「現在の出来事が題材で今使う英単語の力が付く」と実感する。

 写真は授業の導入部で、4コマ漫画はスライドを使った発表などに発展させながら1年間続ける予定。「大学の2次試験で、写真の説明や漫画を使った出題がある」と鈴木教諭。進路などをテーマに新聞記事をストックし、課題を考え、英語でプレゼンテーションする展開を想定する。

感想・意見、英文で記入 新聞スクラップリレー

新聞記事への意見や感想が英語で書かれたスクラップブック

 鈴木教諭は、今春卒業した文理進学クラス32人を対象に2年間、英語(教科)とキャリア教育の視点を連動させた「英語で新聞スクラップリレー」に取り組んだ。

 4人一組でグループをつくり1週間で一回り。切り抜いた記事を基に、要約を日本語、感想・意見を英語で記入。鈴木教諭が全員の文章にコメントを付け、月曜日にクラスで共有した。

 目的は思考力・判断力・表現力と批判的に考える力の育成。小論文や面接対策、英語を書く力の向上、語彙(ごい)の習得など目標を生徒と共有することで真剣な取り組みに。選ぶ記事は吟味され、読み手を意識した英文にするなど工夫が見られた。

 記事の英訳ではなく感想や意見を英文で書かせたことについて鈴木教諭は「英訳は正解を求め負荷が大きい。自由に考え英文にすることで、表現したい、伝えたい内容になる。新聞や友人の意見を読み返す効果もある」と説明する。

 2年時に始めたスクラップリレーは、3年前期の英字新聞作製と後期のディベートに発展。新聞作製はパソコンで入力、ディベートでは場面に応じた単語の使い分けや新聞を使った情報収集などに取り組んだ。

 生徒からは「授業のように時間に追われず、調べる時間がしっかり取れた」「テレビではおぼろげに考えが浮かぶだけだが、スクラップリレーで英語力のほか、みんなの考え方を知ることができた」などの感想が寄せられ成果が表れた。


  鈴木 紗季教諭に聞く  きっかけ、ツールに有効

 教育現場で新聞を活用する利点や効果を鈴木紗季教諭に聞いた。

 前任校で新聞を活用し、きっかけづくりやツールとしての有用性を実感した。

 新聞は、他のメディアに比べ根拠がしっかりしているし、手に取り話ができる。多角的な報道は生徒の視野を広げ、一つの考えから、疑問、課題、解決法などにつながり考えを深める。発表することで発信力も伸びる。

 記事に触れることで調べ学習が進む。自分で調べれば頭に残るし、伝えることが前提のスピーチは考える力を育む。写真を使う授業をきっかけに身近なものと英語を結びつけ、自学自習の姿勢を身に付けて卒業後も英語に興味を持ち学び続ける子どもを育てたい。

 スクラップリレーなど週末にコメントを付ける作業は大変だが、生徒の考える力、英語力の成長が見え教師冥利(みょうり)に尽きる。

 (談)