小中高校で復興教育に取り組む県の地域連携型指定校の宮古水産高、河南中、藤原小(宮古市)は、新聞を生かし連携。缶詰作りに取り組んでいる。高校生が東日本大震災発生当時の新聞を使い缶詰の有用性を説明。中学生が保存食としてのレシピを考え、小学生が被災時に元気が出るラベルを考える取り組みだ。活動は11月に行われ、小中高校生が復興缶詰作りに目を輝かせた。

元気が出るラベルを

 

藤原小の児童が描いたラベルを巻き付けた缶詰(宮古水産高提供)

宮古市の藤原小(高田勇幸校長、児童55人)の6年生11人は11月27日、缶詰のラベルデザインを考えた。実習で製造を手掛ける宮古水産高生が同校を訪れ、缶詰の良さを紹介。手に取った人が元気になるラベルにしようと児童らは思いを膨らませ、ペンを走らせた。

 東日本大震災後、缶詰は非常食として需要が高まった。食品家政科食品管理系2年の田鎖優さん、細越祐依子さん、白土栞さん、西村未来さんの4人は、内容を伝える記事を資料として配り「新聞は震災時に生活情報を得るのに役立った」と語った。缶詰の良さを▽長期保存が利く▽高圧蒸気で殺菌しているので安全▽缶なのでつぶれにくく持ち運びしやすい-などと説明。田鎖さんは「宮古の復興にさらに勢いをつけられるようなデザインを考えてほしい」と呼び掛けた。

 用意したワークシートには「見た人にどんな気持ちになってもらいたいか」との質問があり、児童らは「うれしくて勇気が出る」「立ち直れる」などの思いを寄せた。魚や海にかかる虹の様子などを生き生きとデザインした。

 6年担任の千葉健示教諭は、宮古に関係する記事などを授業や家庭学習で活用している。「インターネットだけではなく、さまざまな情報に触れ、必要なものを選び取る力を身に付けさせたい」と語り、新聞が結ぶ小学生と高校生の交流を見守った。 

 ラベルに人魚の絵を描いた鈴木夢麻(ゆま)さんは「悲しい気持ちが吹き飛ぶようにと願いを込めた。記事を読むのに初めは時間がかかったが、だんだん早くなってきた」と活動を楽しんだ。

レシピ考案に知恵

缶詰のレシピをグループで話し合う河南中3年C組の生徒

 河南中(山名秀樹校長、生徒218人)に対する宮古水産高生の出前授業は11月13、16日の2日間行われ、3年C組の29人が缶詰のレシピを考えた。宮古水産高の4人が、震災発生当時の新聞を片手に、非常時に役に立つ缶詰を説明。災害時に栄養が付き、普段食べてもおいしいレシピに生徒たちは知恵を絞った。

 田鎖さん、細越さん、白土さん、西村さんの4人は「非常時に、元気になる缶詰を開発したい。『こんなのが食べたい』というレシピをつくってください」と呼び掛けた。

 生徒たちはタブレットで料理を調べ、グループで話し合いながら、エビや貝、サケ、白身魚などを材料に中華風やイタリアンなどの味付けを考案。震災の際、缶詰を家族で分け合って食べたという古舘陽向(ひなた)さんと山内勇海(いさみ)さんは「新聞には大切な情報が詰まっていることを知り、これからは細かいところまで読もうと思った」「災害があったときに食べたくなるような缶詰を考えたい」と笑顔をみせた。

 C組担任の松井端望教諭は「新聞で小中高がつながった。地元ならではの話題を高校生が提示してくれ、震災・復興学習の連携に弾みがつく」と今後の展開を見据えた。


 村上美香教諭に聞く 新聞通じ共に学び合い

 復興缶詰づくりで指導に当たった宮古水産高の村上美香教諭に、小中高連携と新聞について聞いた。

 新聞を媒介にして小中高校で連携するのは難しいことだったが、専門高校である強みを最大限に生かした取り組みになったと思う。高校生が出向くことで、中学生は進路選択で水産高の存在を意識し、小学生には地域理解と防災教育の面で役に立ったのではないかと感じている。

 今回は東日本大震災に関連する記事を活用。小中高校それぞれの成長段階に応じて読み取ることに違いがあることが分かった。小学生は記事から思いや気持ちを読み、中高校生はその背景まで考えていた。「復興缶詰」という共通目標を設定したことで、復興・防災に対する気持ちをそれぞれ高めることができたと思う。

 また、参加した高校生は、発表や交流を通して自主性を育むなど、学ぶところが多かったようだ。

 今の高校生は、スマートフォンなどから、自分で選ばなくても情報が入ってくる生活環境にある。その中で新聞の重要性を提示するのは簡単なことではないが、今後も活用を模索していきたい。

(談)