いわて音巡り③ 三鉄と柿のれん(大船渡)

夕闇彩るオレンジ色
太陽が山に沈み、光に照らされていた街並みが夜の景色へ変わっていく。大船渡市三陸町越喜来(おきらい)の三陸駅。東日本大震災の津波で周辺一帯は甚大な被害を受けた。あれから6年8カ月、復興に向けて日々工事が進む。
駅には三陸の風物詩「柿のれん」が並び、浜風に揺れる。市観光物産協会(斉藤俊明会長)が企画し、三陸鉄道、三陸町直売組合が協力している。今季は地元の柿3700個を駅のホームと三陸町観光センターの入り口につるした。
午後5時すぎ、蛍光灯の明かりがともり、オレンジ色に輝き始めた柿のれん。「ポォッ」。汽笛を鳴らし、三陸鉄道南リアス線の車両がホームに入ってくる。「ガタッ、ゴトッ、ガタッ」。青、赤、白でおなじみの車両が音を立ててゆっくりと到着した。
2014年に全線運行再開を成し遂げた三陸鉄道。希望を沿線住民に届け、復興の思いを乗せて三陸を走り続ける。
(文・写真 報道部・山本毅)

メモ 柿のれんは1999年から本格的に始まった。震災で一時中断したが、2013年の三陸鉄道南リアス線盛―吉浜間運行再開に合わせて復活。柿は1カ月乾燥させ、イベント列車などで乗客に振る舞う。