「新聞の面白さをもっと伝えたい」-。

 盛岡市の岩手大付属小(山崎浩二校長、児童610人)5年たけ組(31人)は、校内の新聞コーナー「読(よ)ん読(どく)コーナー」利用促進を目指している。企画を考え、活動をスタート。多彩なアイデアが浮かぶ中、継続した取り組みが可能かがポイントに。児童は活動を通して新聞との距離を縮め、実生活に生きる行動力を育んでいる。

 授業は総合的な学習の単元「発信! たけ組新聞社」(計10時間)として計画された。記者らをゲストティーチャーに招き新聞の役割や有用性を認識。新聞コーナーについて全校児童対象にアンケートを実施した。「難しくて分からない」「興味がない」「(置き場所が)遠い」などの回答から、活用が図られていない現状を踏まえ班ごとに解決方法を探った。

 2日に行われた7時間目の授業で児童は「チラシや放送で宣伝する」「低学年、高学年向けにスクラップ新聞をつくる」「スタンプラリーを行い、ポイントをランキングにする」「記事の中からクイズを出してコーナーに導く」などアイデアを出し合った。

 担任の関戸裕教諭(41)が「読む人が増えたとして、続けて利用してもらうために必要な視点は何だろう」と問い掛けると、児童からは「面白いと思えること」「活動が簡単だと続けやすい」との声が上がった。

 たけ組ではスクラップ活動にも取り組み始めた。原科幸一郎君は「コーナー向けにスクラップ新聞をつくろうと考えたが、毎日続けるのは大変そう。もっと効率的な方法を考えたい」、千代川小春さんは「自分たちの考える工夫でコーナーが利用されるようになればうれしい」と張り切った。

 また、菊池蘭(らん)君は「紙面を広げると、いろんなニュースが一気に目に入るのがいい」、真藤子大和(まふじこやまと)君は「東日本大震災が起きたとき、避難者情報を載せた新聞が被災地で役立ったことを知り興味を持った」と関心を寄せている。

 田口小桜(こはる)さんは新聞を取り入れた授業に「たくさんの人に情報を伝えるためにどうすればいいかを考え、実際に活動することは楽しい」と熱心に取り組んだ。

 単元は「アイデアを出し合って物事を活性化する面白さ、持続する難しさに気付き、自分たちの考えを問い直しながら新聞を広める活動に主体的に取り組む」ことを目指す。関戸教諭は「思考する過程で身に付けた力を、日々の生活や学習活動に活用できるようにしていきたい」と子どもたちを見守る。

課題探り、整理・分析、考察 問いを重ね創造性育む

 「発信! たけ組新聞社」の計10時間の授業では、子どもたちに次々に問いを投げかける工夫が見られた。

 最初に、新聞が身近な媒体でありながら情報収集手段としてあまり活用されていない点に着目。「新聞の特長とは何か」という問いから始め、新聞記者や東日本大震災発生当時、中学校で学校新聞を作り被災者に情報提供した大学生をゲストティーチャーとして招くなど、情報媒体としての有効性を気付かせる。

 その上で、新聞コーナーの利用状況を児童自らが全校アンケートを行って調べ「『9割がコーナーを知っている』のに『利用は3割』」という「事実のずれ」から、新聞コーナーの利用促進方法を考える第2の課題へ。

 グループで練り合った企画・提案ができた後は、さらに利用率を高める活動を「継続性」という別の視点で考える「批判的思考」を導き、再検討を重ねた。

 子どもたちはアイデアを出し合っては立ち止まり、課題を探り、集めた情報を整理・分析し、考える-というプロセスを繰り返す。その間、新聞スクラップ活動を始め、新聞への認識を深めた。関戸教諭は「一連の流れの中で創造性が育まれる」と説明する。

 次は、企画を決定し活動を始め、継続させる段階。単元の10時間目は、しばらく間を取り、12月後半、振り返りに使う予定だ。


 関戸 裕教諭に聞く 学びと実社会をつなぐ

 総合的な学習で新聞コーナーの利用促進に取り組んだ関戸裕教諭に新聞の持つ力などを聞いた。

 新聞が子どもたちに与える力は、学んだことを生活につなげること。勉強したことが、実社会に対する見方や考え方として働くようになり「自分事」として受け止められるようになる。

 また、紙面から得られるこれまで関心のなかった情報は、興味を広げアンテナを高くする。すぐに生きる知識ではないが、いろんなところから、いつか使う情報を集めることに結び付いていく。

 スクラップは、スタートして、まだ数回しか行っていないが、文章に対する集中力が高まり、要約を心掛けて読むようになった。記事に対して、自分の考えを持とうとする姿勢が見え始め、積極的に学んだことをスクラップする芽生えが感じられる。

 情報化社会の中で、子どもたちはネットに頼りがちだが、信ぴょう性や正確さを考えて使うようになってほしい。新聞は情報ツールとして優れている。「字が多い」、「難しそう」といった食わず嫌いはもったいない。複数の情報に接し、書き方の違いを見極め、一つの出来事に対していろいろな角度で考える力を育てていきたい。

(談)