震災犠牲者の遺訓を心に刻む一方井中の生徒

 東日本大震災で被災した本県の未来を開く「防災教育」に新聞記事は大きな役割を果たしている。被災地の今や震災の教訓を学ぶことはもちろん、犠牲者の行動と遺訓を視覚に訴える岩手日報社のデジタルアーカイブの活用も進む。主体的な学び(アクティブ・ラーニング)に取り組んだ子どもたちが命を守る意識を高める効果も期待される。

 岩手町の一方井(いっかたい)中(後藤隆信校長、生徒52人)の全校生徒は昨年6月、岩手日報社と首都大学東京の渡辺英徳准教授の研究室が共同制作したデジタルアーカイブ「震災犠牲者の行動記録」を使った授業を受けた。

 同社報道部の鹿糠敏和次長が、地震発生から津波襲来までの犠牲者の動きを解説。本紙が掲げる「とにかく逃げる 逃げたら戻らない」など「命を守る5年の誓い」を紹介した。

 授業から半年が経過しても、犠牲者の遺訓は生徒の中で生き続けている。遠藤琴美さん(2年)は「もし大きな災害があったら、すぐに行動できるように考えていきたい。亡くなった人の命を決して無駄にはできない」と心に刻む。

 地震・津波だけでなく、豪雨や突風、噴火など災害は多様だ。デジタルアーカイブを使った授業は、犠牲者を悼みながら、広い県土でそれぞれが遭遇する可能性がある災害を考える機会となっている。これまで岩手大、盛岡一高、柳沢小など児童から学生まで幅広く授業を行った。

 震災前に釜石東中教諭として新聞も活用しながら防災教育を展開していた岩手大教職大学院の森本晋也准教授は「防災教育は子どもたちが主体的に行動できることが大切。現在を伝え、社会に高い意識を訴える新聞から主体的に情報を取ることは重要だ」と話し、教員も新聞を使いこなすことが必要と説く。