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短歌甲子園2017(第12回全国高校生短歌大会)は8月18日(金)〜20日(日)、石川啄木ゆかりの岩手県盛岡市で開催されます。31文字に思いを込めた高校生たちの熱いバトル。盛岡劇場で行われる個人戦・団体戦は誰でも観覧可能です。大会出場経験者で現在も若手歌人として活躍する浅野大輝さん(23)、工藤玲音さん(22)、武田穂佳さん(19)に短歌の魅力や文芸に励む高校生へのエールを聞きました。

<短歌を始めるきっかけに>

―短歌甲子園はどんな存在か。

浅野 短歌を始めるきっかけをくれた大会。高校で小説を書こうと思って文芸部に入ったが、先輩に誘われて出場したらすごく面白かった。

大会が縁で交流が続いている(左から)工藤玲音さん、武田穂佳さん、浅野大輝さん

武田 短歌が好きだった自分にとっては3年間の中で一番大きな目標だった。作品の審査は厳しいが温かい雰囲気で、短歌に詳しくない高校生が出ても審査員が目線を合わせてくれる良い大会だと思う。

工藤 限られた時間の中で短歌を詠む経験はなかなかない。自分の体験や感情をうまく歌にできるかどうか。芸術作品を目指して腕を競うというより、高校生が啄木ゆかりの地に来て、短歌に触れていくきっかけとなる大会だと感じる。

浅野 負ければ悔しいけど、友人ができたり、良い作品との出合いがあったり。毎年恒例のわんこそば大会(選手交流会)もすごく盛り上がる。僕ら3人が出会って交流が続いているのも大会の縁。

<全国の大会OBも活躍>

―全国の大会OBもボランティアスタッフとして駆け付け運営を支えている。

工藤 最近も埼玉県に住むOBが「盛岡は思い出の地」と言って遊びに来てくれた。「短歌のふるさと」と言ってくれる人もいる。

浅野 盛岡はとてもきれいな街で魅力がある。岩手は高校生の文芸水準が高いし、文芸に励む生徒を伸ばそうとする風土を感じる。

取材場所は盛岡市中央通にある「啄木新婚の家」

―短歌をやっていて良かったと思うことは。

武田 作品として残るところ。「この気持ちを残しておきたい」と思ったものを歌にするタイプなので、読み返した時に当時の気持ちを思い出せる。

浅野 「出会い」が増えたこと。人や出来事だけではなく、歌が完成して初めて「自分はこういう気持ちだったのか」と自分自身に驚くこともある。

工藤 感情の種類が増えたかな。「寂しい」「悔しい」だけではなく、そういう言葉を使わなくても表現できるようになった。

<詠み重ねる中で歌が成長>

―短歌には「5・7・5・7・7」の定型ではないものも多い。

浅野 リズムが大事。本人が「これは短歌だ」と言えば短歌になるような世界でもある。

武田 でも定型からはみ出すなら、はみ出すなりの理由が必要。基本がないと崩せない。

浅野 そう考えるとジャズみたいな感じ。基本があって自由がある。短歌甲子園でも、初戦は定型で詠んでいた生徒が、同世代の作品から刺激を受け、対戦を重ねる中で歌が成長していくのが分かる。改めてすごい大会だと思う。その時しか詠めない歌を目指して、仲間とともに最高の夏にしてほしい。

「作品、仲間との出会いを楽しんで」と語る3人

<お題は「近」30分間で即詠に挑戦!>

インタビュー後は大会当時の初心に戻って(?)、久しぶりに「即詠」に挑戦してもらいました。

制限時間は30分間。その場で出した題は「近」です。「どうしよう、ちゃんと完成できるかな」と笑い合いながらも、OB3人による「模擬短歌甲子園」が始まりました。

創作スタイルは3者3様。

浅野さんは、ずっと縁側に座って庭の緑や青空を眺めながら、時々スマホの画面をのぞいています。武田さんはスマホを片手に、屋内に飾られてある展示物を見たり、鼻歌を歌ったりと自由に歩き回るタイプ。いつ短歌が完成していたのか分からないほどです。唯一ペンを取り出して手帳にメモをしていたのは工藤さん。静かに指折り数えてリズムを確認しています。


30分後、見事に高校生へのエールを込めた夏らしい短歌が完成しました。

「即詠は久しぶりだったし、場所の雰囲気が良くて楽しかった」と笑顔の3人。今年の短歌甲子園ではどんなドラマが生まれるのか。石川啄木ゆかりの地で、あなたも思いを巡らせてみませんか。







【略歴】浅野大輝(あさの・ひろき)能代高卒・2010年大会審査員特別賞・仙台市、工藤玲音(くどう・れいん)盛岡三高卒・11年大会団体優勝・盛岡市、武田穂佳(たけだ・ほのか)盛岡四高卒・15年大会団体優勝・東京都

2016年 大会のようす


過去の入賞作品ピックアップ

  • 見上げたら新しい月 君といる新しい夏 願って眠る(先鋒・古川智梨さん)
  • 冗談で渡した ちゃちな紅水晶 あなたの恋を願っているよ(中堅・土谷映里さん)
  • 新しく生まれたい夜 願いこめ 二十枚の爪すべてを磨く(大将・武田穂佳さん)
      −第10回大会(2015)団体戦優勝作品=盛岡第四(岩手)、題「願」
  • 気づいたら 変に帽子をかぶってる あなたがくれた最後の癖だ
      −第9回大会(2014)個人戦最優秀作品賞=旭川商業(北海道)細木楓さん、題「癖」
  • ササニシキ重いと言わず肩に乗せ お客さんへと 誇りを届ける
      −第8回大会(2013)特別審査員小島ゆかり賞=小牛田農林(宮城)安田佳樹さん、題「重い」
  • われらみな 扉に鍵をかけている 優しく2回、たたいてください
      −第7回大会(2012)個人戦最優秀作品賞=葵(福島)菅家美樹さん、題「扉」


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