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D.次世代教育 2008年5月6日
郷土への誇り大切に

 「花見をし 笑顔たくさん 浄土かな」「金の野の 浄土の世界は 人の夢」―。

 平泉町・平泉中で4月26日に行われた「平泉学」報告会。生徒は古里への思いを俳句に詠み、舞台では地域に伝わる「達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門神楽」を披露した。

 昨年8月、現地調査に訪れた国際記念物遺跡会議(イコモス)の調査員ジャガス・ウィーラシンハ氏は、「遺産価値の普及」の重要性を強調した。

 遺産の理解を広げるには住民への周知はもちろん、次代を担う子どもたちへの教育が欠かせない。世界遺産登録を見据え、「平泉教育」は徐々に高まりをみせている。

 一関・奥州地域の小中学生を対象に学びの場となっている「ときめき世界遺産塾」のほか、関係市町では児童生徒向けのガイドブック作製や、体験を交えた平泉学習を小中学校の授業で進めている。

 学校現場では、平泉中が本年度から独自の「平泉検定」を導入。松尾芳弘校長は「子どもたちが郷土に対する愛情や誇り、責任を持てるようになってほしい」と期待する。

 一関市の骨寺村荘園遺跡に近い本寺小では、長年続く古里学習に加え、新たに「ガイド学習」を始める。朝の集団登校、児童は自主的にごみ拾いにも取り組んでいる。

 熊谷麻衣さん(6年)は「豊かな自然が『地域の宝』。もし世界遺産になったらうれしい」という半面、「いっぱい観光客が来たら、ごみで汚れてしまうかも…」と心配。知識だけでなく、景観を守る意識も芽生えている。

 遺産価値の理解は、地元だけの課題ではない。県教委は登録後にも、県内の小中高校で「平泉授業」を進める方針で、達増知事も講義に加わるなど、全県への普及を狙う。

 本寺中PTAの鈴木恵美子さん(50)は「自分が育った古里を知ることは大切なこと。今は『世界遺産』が家族の会話の糸口にもなっている」と親子で学ぶ機会を喜ぶ。

 平泉の文化遺産は「郷土愛」のたまもの。平泉に息づく独自の精神を世界に伝えるためにも、わたしたち県民が価値を理解し、誇りを持つことが何より大切だ。   

 (終わり)



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