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B.観光振興の好機 2008年5月4日
全県へ効果波及課題

 「県内の観光業界にとって最大にして最後のチャンス」。県観光協会の佐藤義正理事長は、これまでにない誘客効果が期待される平泉文化の世界遺産登録を「逃す手はない」好機ととらえる。

 世界遺産登録後、国内外から観光客が押し寄せる「観光ラッシュ」が予想される。昨年7月に世界遺産登録が決まった石見銀山には、2カ月後、前年同月に比べ約6・3倍の観光客が訪れた。

 県観光課によると、7月から3カ月間で県内の観光客が前年より1割増加すれば、150億円の経済効果が見込まれる。この効果をいかに持続的に、県全域に波及させるかが課題だ。

 県は昨年11月、平泉の文化遺産の「活用推進アクションプラン」を策定。国や自治体、観光団体が連携し、受け入れ態勢の整備や旅行会社へのPRを推進してきた。

 7―9月には県とJR東日本がタイアップし、「いわて・平泉観光キャンペーン」を展開するなど、官民の登録に向けた取り組みが進んでいる。

 県観光協会は3月下旬、県内の観光団体に呼び掛けて全国の旅行会社に見どころを提案する「着地型」の旅行商品づくりを始めた。

 参加団体の一つ、陸中海岸魚彩王国実行委員会は4月から平泉と宮古を結ぶバスツアーの運行を始めた。山口惣一事務局長は「昼は平泉を見て、夜は沿岸でおいしいものを食べてほしい。そのためにも可能な限り三陸に足を延ばして宿泊してもらうような商品を求めたい」と期待する。

 地元観光業界の取り組みの一方で、登録に向けた温度差もある。岡山県から平泉を訪れた松浦一志さん(68)は「中尊寺は4回目だけど、世界遺産登録を目指しているなんて知らなかった」と驚く。

 昨年まで近畿日本ツーリスト盛岡支店長を務めた高梨直実・同社京都仕入メイトセンター長は「岩手の観光の魅力は誰に聞いても自然と食を挙げる。平泉、三陸海岸、小岩井農場など個々には有名だが、統一的なイメージが不足している。平泉を中心にしたイメージの再構築が必要」と指摘。全県的な観光振興に向けて「いわて・平泉」のブランドの確立を求める。



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