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平泉世界へ イコモス「登録」勧告

(中)柳之御所遺跡の除外 調査研究の推進重要 2011年5月10日

 

 「うれしいですが、残念でもあります」

 奥州市江刺区のえさし郷土文化館で8日に開かれた「平泉の文化遺産」講座で、講師の相原康二館長(67)は国際記念物遺跡会議(イコモス)勧告に複雑な思いをにじませた。

 「登録」の条件としてイコモスが示した、平泉町の柳之御所遺跡の除外。コンセプトである「浄土思想」との直接的な関連性が薄いとの理由からだ。

 同遺跡は、一関遊水地事業に伴い1988年から始まった大規模緊急発掘調査で中国産白磁や大量のかわらけなど数々の重要な遺構・遺物が出土。全国的に保存を求める声を受け、旧建設省(国土交通省)の英断で保存が決定した。

 当時、県教委文化課の文化財担当として一連の経緯に関わった相原館長。「柳之御所は平泉研究、世界遺産登録運動の原動力だったが、最後の最後に…」と多くの関係者の思いを代弁する。

 同遺跡の除外条件は、今回の構成資産から外れた一関市の骨寺村荘園遺跡、奥州市の白鳥舘遺跡と長者ケ原廃寺跡、平泉町の達谷窟の追加登録が容易ではないことも浮き彫りにした。

 骨寺村荘園遺跡の地元、本寺地区地域づくり推進協議会相談役の佐藤弘征さん(67)は「登録勧告は喜ばしいが、柳之御所が除外されるとなれば、追加登録に危機感を持たざるを得ない。行政は浄土と直接関連する寺社や仏閣の調査を進めてほしい」と願う。

 奥州市前沢区の鈴木秀悦さん(69)=市世界遺産候補地ガイドの会会員=は「追加登録への道のりが険しくなったにしても、夢がなくなるわけではない。市内2遺跡の発掘調査がますます重要」と期待する。

 「将来的な追加登録に向けた柱が柳之御所遺跡と前向きに捉えたい」と大矢邦宣盛岡大教授。その大前提となるのが「平泉」の中核を支えた周辺部や県内各地の遺跡群の総合的な調査研究の推進だ。

 相原館長は、県民が平泉文化に理解を深めることで調査研究の進展、追加登録への追い風になればと本年度、県内各地の平泉文化を通年で紹介する講座を開催。8日は岩手郡の11〜12世紀の遺跡や仏像などにスポットを当てた。

 秀悦さんと共に受講した妻の芳子さん(66)は「古里の八幡平市西根町にも平泉文化があることを知り、身近に感じることができた」と喜ぶ。

 登録実現に向けて高まった県民の「平泉」への関心を実現後はさらに高め、今後の追加登録につなげたい。

 【写真=構成資産から除外するよう指摘を受けた柳之御所遺跡。追加登録に向けた調査研究が重要になる=平泉町平泉】


 
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