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平泉世界へ イコモス「登録」勧告

資産絞り再挑戦 時間かけ価値再認識 2011年5月9日

 

 「構成資産の一つが外れる場合、今までのイコモスのパターンだと『情報照会』も考えられたのではないか」

 「登録」勧告を7日に発表した県教委の中村英俊文化財・世界遺産課長は、柳之御所遺跡の除外が条件となった点を問われ、こう答えた。

 近年、イコモスの審査が厳しくなる中、「資産の除外」という重い条件が付いた「平泉」はなぜ今回、登録となったのか。

 日本イコモス国内委員会委員長の西村幸夫東京大教授は「(浄土世界を表すのに)柳之御所遺跡を除く5資産で十分説得力があると評価したのではないか」と分析する。

 「登録延期」となった前回2008年。関係者は大きな衝撃を受けた。だが、再挑戦に向けて「浄土と関わりが薄い」とされた4資産を外すという苦渋の選択をし、浄土に関連の深い資産に絞り込んだことが今回の結果につながったといえる。

 また、同委員会委員の稲葉信子筑波大教授は「浄土庭園の比較研究でアジアの中での平泉の価値を位置付けたことなど、『平泉』を世界に主張していくための意味ある時間だった」とこの3年間を振り返る。

 今回の再挑戦は、分かりにくいとされた「平泉」の浄土思想について、県内外の人が理解を深めるきっかけにもなった。

 ゴールデンウイーク最終日の8日、構成資産の一つである毛越寺を訪れた千葉県柏市の高木紀和(みちお)さん(74)は「奥州藤原氏が願った平和への思い、平泉独自の景観など京都よりも進んだ文化があったのではないか」と話す。

 平泉町平泉の手づくり雑貨「まめ太郎」の千葉佳代子代表は「平泉に何が足りないのか、自分たちがすべきことは何かを考える時間になったと思う」と再挑戦の意義を語る。

 本審査まで6週間。関係者や県民が自信を深める中、今後は確実な「登録」に向け、柳之御所遺跡を除外するかこれまで通り6資産でいくかの判断が求められる。県と文化庁は今週中にも対応の検討を始める予定だ。

 文化庁の本中真主任文化財調査官は、7日の記者会見で「県との相談だがこのままいけば、イコモスの勧告が受け入れられる」と述べ、柳之御所遺跡を除く5資産で臨むことで登録になる可能性が高いとの認識を示した。

【写真=柳之御所遺跡を構成遺産から除外することについて「県とよく相談したい」と説明する文化庁の担当者=7日、東京・文部科学省】


 
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