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悲願の登録 平泉の文化遺産

「浄土」世界認めた 満場一致、称賛相次ぐ 2011年6月27日

 

 「待望の世界遺産登録を本当にうれしく思う。町民に早くこの思いを伝えたい」

 「平泉の文化遺産」の登録が決まった直後、記者団の取材に応じた菅原正義平泉町長の声は震え、目には涙が浮かんでいた。文化庁や県の関係者らも握手をしながら、登録を喜び合った。

 当初の日程が遅れ、25日午後5時すぎ(日本時間26日午前0時すぎ)の審査にずれ込んだ「平泉」。審査冒頭、国際記念物遺跡会議(イコモス)は、ほかの審査時よりも長い約10分間にわたって登録勧告の理由を説明。「平泉」の価値を高く評価した。

 「登録延期から3年で新たな推薦書を作り、このような形で再挑戦したことは素晴らしい」。オーストラリアやエジプト、スウェーデン、フランスなど多くの委員国が称賛の意見を表明。それらの声は、修正意見として決議に付け加えるという「異例」の結果に結び付いた。

 満場一致での登録決議。感謝のあいさつをする達増知事の姿はステージ上の大型スクリーンに映し出され、会場内は大きな拍手に包まれた。

 「誰も何の疑いもなく平泉の価値を認め、支持してくれたということだ」と文化庁の近藤誠一長官。世界の「HIRAIZUMI」となった瞬間だった。

 国や県などは08年の登録延期を受け、構成資産を浄土思想に直接関連するものに絞り込んだ。その戦略が奏功し、現世に平和な浄土をつくろうとした「平泉」の価値を共有してもらえたといえる。

 実は08年、近藤長官は世界遺産委員会の審査を前に、仲間の各国大使に「登録」を要請する一方、もし「情報照会」に評価を一段階上げるならイコモス勧告のまま「登録延期」でいいとこっそり打ち明けていた。

 「前回、『情報照会』のような中途半端な結果であれば思い切った見直しができなかった。登録実現は(資産を絞り込んだ)地元の決断があったからこそだ」と振り返る。

 今回、柳之御所遺跡はイコモスの勧告通り除外となった。だが、審査では中国が「柳之御所遺跡を入れてもいいのではないか」と発言するなど、次の段階登録に向けた希望も残った。

 戦争や紛争が絶えない中、東北の先人が目指した浄土がついに世界に認められた今回の登録。達増知事は「平泉の理念をしっかり守りながら、震災からの復興も世界と一緒に進めていきたい」と強調する。

【写真=世界遺産登録が決まり、記者会見で喜びを語る(右から)近藤誠一文化庁長官、菅原正義平泉町長、達増知事、木曽功ユネスコ日本政府代表部特命全権大使=25日(現地時間)】


 
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