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平泉世界遺産登録 正念場の再挑戦(中)


現地調査への準備 関連性分かりやすく


 国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査は9月8、9の両日、行われる。それを前に今月18日、文化庁記念物課の本中眞主任文化財調査官が平泉町を訪れた。

「水位はどのぐらいか」「駐車している車はどうするのか」。池跡に水を張り、往時の浄土庭園の雰囲気を再現した無量光院跡で、カメラを手に県教委や町の関係者に質問を重ねた。

「英知を結集して推薦書の中身を整理し、提出した」と自信を見せる本中調査官。「あとは現地調査に向け抜かりのないようにしていきたい」と準備に万全を期す。

県教委や平泉町の職員らは5月、現地を確認。各資産の説明時間の配分や説明板の内容との整合性を確かめ、効果的に理解を深めてもらう方法を練り上げた。

今回は中国イコモス国内委員会委員の王力軍調査員が現地調査をし、資産の内容を確認、保存管理状態をチェックする。イコモスはその報告書や推薦書などに基づいて審議、勧告するため今回の調査は重要な意味を持つ。

前回2007年の現地調査では、終了後に文化庁は「遺産全体の価値や保存・管理の両面について、一定の理解が得られた」と手応えを感じていた。しかし、翌08年5月のイコモスの勧告は「登録延期」。構成資産のうち地理的にも離れている4資産が「浄土世界との関連性が薄い」などと指摘された。

 浄土世界と絞り込んだ構成資産の関連、その価値をどう分かりやすく伝えるかが大きな鍵となっている。

今回の推薦書名は「平泉−仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」。イコモスから指摘された骨寺村荘園遺跡、長者ケ原廃寺(はいじ)跡、白鳥舘(しろとりたて)遺跡、達谷窟(たっこくのいわや)の4資産を外し、浄土と深く関連する6資産(中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山、柳之御所遺跡)に絞り込んだ。

「浄土」について、推薦書作成委員の大矢邦宣盛岡大教授は「藤原清衡が目指したのは『この世の浄土』であり、極楽浄土ではない。現世を浄土にする思想こそが平泉だ」と今につながる価値を説く。

「イコモスや世界遺産委員会から指摘を受けた点は今回の推薦書でできる限り直した」と口をそろえる関係者。あとは平泉の価値をどう世界に伝えられるか。その力が問われている。

【写真=無量光院跡を確認する本中眞主任文化財調査官(右から2人目)。6構成資産を巡りイコモスの現地調査に備えた=18日】

(2010.8.29)

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