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平泉世界遺産登録 正念場の再挑戦(上)


異例の高い登録率 県、町は地道にPR


 「イコモスの勧告に反して委員会で記載(登録)決議になっていたものが多く、異例の状況だった」

 7月25日から8月3日までブラジルで開かれた第34回世界遺産委員会。休憩時間に開かれた本県や文化庁の関係者らとの懇談会の席上、ユネスコ日本政府代表部の山本忠通特命全権大使(当時)はこう強調した。

 異例の登録率―。関係者が一様に驚いたのは、最近の審査の厳格化が背景にあったからだ。文化庁によると、世界遺産の新規登録率は2004年に82%だったが、09年は62%まで低下した。

 事前に行うイコモスの「登録」勧告率も10年は21・1%まで下がった中、今回の委員会では登録率が逆に75%に上昇。県教委のまとめでは平泉と同じ文化遺産は登録15件のうち、半数以上がイコモスの「情報照会(6件)」「登録延期(3件)」勧告からの逆転登録だった。

 現地で同委員会を視察した、県教委生涯学習文化課の佐藤嘉広主任主査も「資産の価値を積極的に評価しようとする委員国が多かった」と感じた。

 外務省によると来年、平泉の審査に当たる委員国の顔触れは今年と同じ。年によって違うため一概には言えないが、積極的に評価する傾向が続く可能性はありそうだ。

 一方、こうした状況について、日本イコモス国内委員会委員長を務める西村幸夫東京大教授は「各国がロビー活動を展開するなど委員会の場が政治化しているということではないか。あまりにも逆転登録が続くと世界遺産の信頼性を損なう」と警鐘を鳴らす。

 無論、2度目となる平泉は来春にイコモスから「登録」勧告を受けた上で、世界遺産委員会に臨むことが最大の課題。そのため県や平泉町は来月の現地調査に向けて入念に準備を進めながら、関係各国への地道なアピールも続けている。

 世界遺産委員会の会場では作成したパンフレットを配布。平泉町は秋にも、交流のある中国、エジプト、クロアチアの日本大使館を訪問し、資産の価値や取り組みに理解を求める考えだ。

 「町の世界遺産登録運動をあらためて紹介したい。できることは早めに行って、万全の準備をする」と同町世界遺産推進室の斎藤清寿室長。気を引き締めて、1年を切った再挑戦の舞台に向かう。

【写真=第34回世界遺産委員会の審議風景。「異例」の高い登録率となった=現地時間7月26日、ブラジル(県教委提供)】

(2010.8.28)

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