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若者の地方移住 「暮らしたい」後押しを


 若者や働き盛りの地方移住をどう進めるか。政府は今月、地方暮らしを広げるための有識者会議を設ける。

 政府が唱える地方創生は4年目に入るが、成果は芳しくない。暮れにまとめた総合戦略の改訂版では、新たな課題として若者らのUIJターンの強化を挙げた。

 背景には東京一極集中が止まらぬ現状がある。一昨年の東京圏は12万人の転入超で、地方創生の開始前を上回る。東京に入る人の大半は15〜24歳の若者だった。

 集中是正は全く、うねりになっていない。戦略改訂版は「関係者の中で地方創生への熱意が薄れている−との指摘もある」と、第三者的な分析にとどまっている。

 地方創生が盛り上がらないのは「1億総活躍」「人づくり革命」と安倍政権の看板が次々替わるからだ。地方移住を進めるなら、まずは集中是正に向けた政権の強い決意を示してもらいたい。

 若者や働き盛りの移住は古くて新しい課題と言える。自治体はUIJターンに力を入れ、地方に向かう人の流れは細いながらもあった。

 岩手にも30代で東京から移住し、農業一本で生計を立てている人がいる。東日本大震災後は多くの若者が支援のため被災地に入り、そのまま定住した人もいる。

 地方暮らしへの関心は決して低くない。大正大の調査では、東京などに住む30〜50代の大企業社員の4割は、支援があれば地方に「移住(検討)したい」と答えた。

 長時間通勤から解放される。子どもを伸び伸び育てられる。新鮮な食材がすぐ手に入る。地方に「暮らしたい」気持ちは、多くの都市住民がぼんやり抱いている。

 でも現実にはいろいろな障害があり、踏み切れない。それらを一つずつ取り払って「暮らしたい」を具体像にする後押しが必要だろう。

 既に地方は努力している。大船渡市や遠野市は移住して働く人を支えるテレワークに力を入れ、八幡平市は都市の正社員の「副業」を受け入れる事業を始めた。お試し居住や移住費補助も広がる。

 西日本には手厚い就業・子育て支援に取り組む自治体が多い。移住を増やす地域は例外なく地道な努力をしており、成功例から効果的な政策を探る必要がある。

 自治体の競争にはなるが、移住全体の流れを太くすることが大事だ。都市の若者や働き盛りが漠然と描く地方暮らしを、鮮明なものにしていく。政府の有識者会議には、そんな役割が求められる。

 その上で、国は移住に取り組む自治体や企業を制度面でさらに支援する。民間と国・地方が足並みをそろえ、流れをうねりにしていきたい。

(2018.1.13)

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