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森友・加計疑惑 「真摯」に説明願いたい


 疑惑を持たれるような事実があったことは認めるが、それが何か−。安倍晋三首相周辺の関与が疑われる森友学園と加計学園問題に対する政府答弁に、木で鼻をくくるような印象を受けた。今回は自民党の質問時間が増えた分、首相への「援護射撃」が目立ったから、なおさらだ。

 両学園問題を焦点とする予算委員会は先週、衆参両院で各2日間の審議を終えた。森友学園への国有地売却で、国が8億円余り値引きした根拠が不十分で、ずさんとする会計検査院の検査結果が示された直後。安倍首相は「真摯(しんし)に受け止める」としたが、それ以上の言葉はなかった。

 一方で、野党の足並みもそろわない。立憲民主党の議員が森友、加計問題を追及した後、希望の党は「建設的な議論」を宣言して外交や待機児童問題に注力。共産党が再び森友問題を取り上げるが、続く日本維新の会は持論とする教育無償化の実現を主張−といったあんばいだ。

 先の衆院選を前に民進党は立憲民主、希望、民進に3分裂。今国会は「顔見せ」として、それぞれのカラーを打ち出すことに力を注いだ節が見える。追及は迫力を欠いた。

 その分、元気だったのは与党側だ。自民党は、会計検査院の検査結果と過去の政府答弁のズレや、財務省近畿財務局の担当者と森友側が売買契約を結ぶ前の昨年5月に価格を協議していたことをうかがわせる音声データなどを率先して取り上げた。

 ただし追及とは程遠く、政府の釈明を誘導する役どころがありあり。質問と答弁を合わせると、実質的に政府、与党の見解や立場を説明する時間が随分増えた印象が強い。

 土地取引を巡る音声データで、財務局側は地下のごみ撤去を名目に値下げを迫る森友側に「ゼロに近い金額まで、できるだけ努力する」「1億3千万円を下回れない」などと答えている。財務省は質疑の中で、売却を前提に森友側と定期借地契約を結ぶなど、「特例」を重ねたことも認めている。

 財務局側の過分な配慮の背景に、森友学園が開校を目指した小学校の名誉校長だった首相夫人の存在が疑われるのが問題の核心。政府、与党はその部分に決して踏み込もうとしないばかりか、財務省側は「金額のやりとり」を認めつつ「価格交渉ではない」などと、居直りとも取れる珍答弁を繰り広げた。

 安倍首相は、加計問題でも記録文書の不備が批判されたことを受け、行政文書管理の厳格化を強調。国有財産の売却業務も見直す意向を示したが、それで疑惑が解消されるわけではない。再三口にする「真摯で丁寧な説明」は、いつしてくれるのか。

(2017.12.4)

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