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止まらぬ企業不正 内の「劣化」見えぬとは


 メード・イン・ジャパンへの信頼が揺らぐ事態だろう。日本の大手製造業による不正発覚が止まらない。

 東レの子会社は、製品の検査データを改ざんしていた。不正は8年間続き、強度を偽ったタイヤの補強材などを取引先に納めていた。

 経団連の榊原定征会長を出した東レは、米ボーイングにも炭素繊維を供給する繊維の名門として知られる。国内の取引先は岩手を含む5千社に及び、影響は大きい。

 素材業界では、既に神戸製鋼所や三菱マテリアルの子会社でデータ偽装が明らかになっている。これらの不正には共通点が見られる。

 一つは「特別採用」と呼ばれる商慣行だ。水準を多少満たさない製品でも、顧客の了承を得て納入する。その際、価格を割り引くなどして引き取ってもらう。

 だが東レの場合、顧客の了承も得ていなかった。わずかな品質の違いだからと担当者が勝手に判断し、黙って納入する。特別採用を悪用したと見られても仕方がない。

 もう一つは、納期を守ろうとするあまり品質を後回しにしていることだ。規格を外れると再検査などが必要になるが、納品を優先して作業をおろそかにした。

 背後には、納期に追われる現場の様子が見える。取引先の値引き要請も強く、国内外との激しい受注競争に勝つには納期厳守とコスト削減を同時に求められる。

 上からの圧力で、現場がじわじわ疲弊していったのではないか。内の「劣化」が見えぬとは、経営の責任は重いと言わざるを得ない。

 自動車を除く完成品で世界との競争に見劣る日本は今、素材や部品が頼りと言える。素材業界での相次ぐ不正は、ものづくりそのものの基盤を揺るがしかねない。

 他の企業にもデータ偽装などがないか、早急な調査が不可欠だ。その上で、不正を許さない品質保証の仕組みづくりが急がれる。

 不正は素材業界にとどまらない。日産自動車やSUBARU(スバル)では無資格の従業員による検査が明るみに出た。人手不足による現場の繁忙が要因とみられる。

 いずれの問題でも、現場の実情を知らぬ経営の姿が浮かび上がる。日産の工場では日々の業務が現場任せで、課長以上の管理職は不正を把握していなかった。

 製造業は現場第一の原点に戻るべきだ。利益をため込むだけでなく、現場の負担を軽くする投資や、社員への還元を惜しんではならない。

 一連の不正では、内部通報制度も有効に機能していなかった。組織の風通しを良くするためには、制度の見直しや充実を考える必要があろう。

(2017.12.3)

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